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Tシャツはふわ~っがぱり~っになる 今枝さんに聞く生地の奥深さ(前編)

Tシャツはふわ~っがぱり~っになる 今枝さんに聞く生地の奥深さ(前編)
Tシャツはふわ~っがぱり~っになる 今枝さんに聞く生地の奥深さ(前編)
工場・職人紹介
2020.09.07
中嶋 みき
こんにちは。名古屋店コンシェルジュの中嶋みきです!

名古屋店には休日になると店頭に立って接客をしてくれるアパレル工場の職人さんがいるのをご存知ですか?(不定期ですけど(笑))。それは、一宮市にあるカットソー工場「今枝メリヤス」の今枝靖久さん!

かつて一大紡績・繊維産地として栄えた愛知県一宮市。その地で70年以上に渡って質の高いカットソー生地の製造を行ってきた今枝メリヤスですが、今では大変貴重となった小口径の編み機を多数有し、現在主流の大口径の編み機では出せない風合いや質感は多くのリピーターを生んでいるんですよ。

今回はそんな今枝さんに“小学生にもわかるように”Tシャツ作りや生地作りの裏話を聞いちゃいましたので、インタビュー形式でお届けします♪
とっても長いインタビューになったので、前編・後編に分けてお届けします!
ファクトリエとの出会いは
代表の山田さんへの手紙から
今枝メリヤスと申します。私、常務の今枝靖久と申します。
ファクトリエではメンズのTシャツを作っている工場です。工場っていうと縫製工場と思われると思うんですが当社はカットソーの生地を作ってる工場です。当社でできるものは生地の編み立てまでです。名古屋店に当社にあった機械を展示している編み機がそうですね。
あれの編み機を見て、店内に入ってきてくださる方が多いんですよね。
はい、その編み機を何台も持ってまして、糸を購入して生地を編み上げることをやっている工場です。もともとは生地売りをやっていたんですが、ファクトリエの山田さんと出会いまして、Tシャツまで自社の責任で作ってファクトリエで販売してもらってます。
もともとファクトリエと始めたきっかけって何だったんですか?
たぶんガイヤの夜明け(テレビ東京系経済ドキュメンタリー番組)だと思うんですけど、山田さんが出られたのを見まして。お手紙を書いて、それでお会いしたのがきっかけです。
お手紙を出されたんですね!代表の山田もいろんなかたにお手紙を出してお会いして。一緒ですね!
そうですね。出会うきっかけは一緒だったのかなという感じで。
ほんとですね!なんて書いたんですか?お手紙。
直接、工場の商品を消費者に売るということがやりたいとテレビでおっしゃっていたと思うんですけど、うちもやりたいんで採用してもらえませんかと。
生地屋なので、伺った時は生地を売れればいいなと思ってたんですけど、ぜんぜん違う話になりまして。製品まで自社ブランドとしてやっていく意志があるかどうかと。
なるほど。今枝さんとしては生地を提供しようっていう感じだったってことですか。
はい、そのつもりで行ったんです。
それまでは下請けで生地を作って、ということですよね。
生地のこだわり PART1
小さいからいいんだ!丸胴って何?
風合いが良くなるのは、原料と、丸胴の編み機を使うと・・・
ちょっと質問です!丸胴の編み機ってなんですか?
体のサイズ分の大きさで作るのを丸胴っていうんですよ。(生地が切れていない“筒状”の状態で出来上がる)
自分の胴のぐるりのサイズで作れる。
はい、それを丸胴といいます。丸胴の生地も世の中のTシャツの生地も「カットソー」と呼ばれるものなんですが、筒になったのをどっか一ヶ所を“切って開く”んですよ。
はい・・・(え、切っちゃうの?)。
そうすると1枚の布になりますんで、それをセットして織物と同じように生地として扱うんですよ。
そうなんですね!その丸いまま使うんじゃなくて開いて1枚の布にするんですね。
大型の機械を使うと幅が160cmとか180cmになるんですよ。一方で、小口径(円周が小さい小型の編み機)は、人の体のサイズと同じような大きさに仕上がります。なので、生地を切って開かずにそのままTシャツにするか、生地を切っちゃって脇をミシンで縫製して仕上げるかに分かれます。生地の使い方として違いが出てくるということですね。
小口径だと縫い代がないカットソーがつくれるということですか!?
そうですね、はい、本来ならそうやって使っていくのがいいんですけど、型紙を差し込みやすいサイズに仕上げるという使い方もあります。
その方がきっとロスが少ないってことですよね。
はい、大量に同じものを作るんであれば、その方が生地も安定しますし、脇の部分を切らなくていいんで。
うんうん(無駄が少なくエコ、縫製工場さんにもやさしいってことですね・・・)。
口径が小っちゃくなればなるほど編める量が少ないですね。口径が大きいというのは一周一回転で編める量も多いし、糸をたくさん何ヶ所からも入れられるんですよ。名古屋店にあるような小口径は40~50本MAXなんですけど大口径は90本とか倍使えるんですよ。つまり同じ時間で倍編めるんですね。
今枝さんのところは大口径もあるんですか?
大口径もあります。ただ、うちは肌着系が多いので機械にも種類があるんですけど。一番多いのが天竺(の機械)、次にフライスとスムース(の機械)が一緒くらいですかね。ほとんど天竺です。天竺は夏場のTシャツだと程よい厚みになりますね。
天竺とフライスとスムースの違いってなんですかね。編み方?
編み機はそれぞれ違うので、天竺の編み機でフライスやスムースはもちろん編めないんですけど。天竺は生産性が良いのと表面がきれいに見えるんですよ。フライスは縦に線が入って見えて、伸縮性がよいので体にぴったりしたラインが出しやすい。スムースはちょっと肉厚でなめらか。
じゃあ、今枝さんがつくっているTシャツの生地は・・・。
はい。
え・・・(どれ??)。
天竺、です(ちゃんと聞いてた?)
天竺!・・・天竺!!笑。
▲弟の今枝健次さん
生地のこだわり PART2
ねじれてこない生地作り
Tシャツの生地でこだわったところあります?
まず糸にこだわっていますね。オーガニックの超長綿の、高級な綿を使った糸なんですよ。例えばギザとかスーピマとかは聞かれたことあると思うんですけど。
コットンの種類ですよね。
はい。ファクトリエのTシャツでは「アルティメイトピマ」という綿を使っています。これは紡績やさんが付けた糸の商品名になるんですけど。超長綿の一種であんまし出回ってない「海島綿(かいとうめん)=シーアイランドコットン」と呼ばれる綿があって、これもいい綿なんですが、その種(タネ)をアメリカの高地でオーガニックに栽培してる綿が「アルティメイトピマ」。種を植えて綿がどんだけ採れるかっていうと、このアルティメイトピマは生産性が悪いらしいんですよ。なので皆さんはなるべくたくさん採れるのをやる、となるとそういう綿じゃないものを使うんです。オーガニックに育てたいわゆる「オーガニックコットン」ていう点でみても生産性が悪く、やっぱり手間がかかるんですよ。
原料からこだわってるって感じですね。それを今枝さんが編み立てて、生地にして。
あと、うちでやってるのは紡績やさんから買った糸をそのまま使わないということ。
そもそもの糸の話をすると・・・糸は綿に撚りをかけてできるんで、元に戻ろうとする力がかかるんですよ。(超長綿の)繊維長が3cmとか4cmありますが、糸に強度を出すために、その繊維を束ねてねじって作られています。
はい。
それで通常は、左撚りやZ撚りっていうんですけど、綿を撚って糸にしているので、服にしたときとかに元に戻ろうとする力が働くんですよ。
(はっ・・・)はたらくんですね?
はい、生地がどうしてもまっすぐにならなくて。
よ、よじれてきちゃう?
よじれる、はい。
あぁでもまぁ、ふつうに考えるとそうですよね!撚って糸を作ってるんだから元に戻ろうとする力が出てくる、と。例えば生地にしたときによじれる。
はい。
なるほどー。
それをよじれないようにするためには反対の力を加える必要があって。そこで、Z撚りに対して今度は「反対撚り」を入れて編むんです。例えば、編み機に糸を入れる時に、Z撚りの糸⇒S撚りの糸という感じで順番に入れてくと、出来上がった生地の中で撚りと撚りが相殺させて生地をまっすぐ作ることができるんです。
なんかシンプルなことかもしれないんですけど、ぜんぜん頭になかったです。生地がよじれないように編み立てるということをしないと、製品になったときに曲がっちゃってるということですよね。
今やってるのは双糸で、Z撚りの糸なんですけど1本で逆に戻しちゃうと撚りがほどけちゃうので、2本を揃えることで今度はS側にねじるんですよ。もともとはZ側だけど撚りを相殺させるように糸にするんです。
今枝さん!すみません!いまさらですがSとZってなんですか?
撚りをかけた方向、アルファベットのZは右上から左下、Sは左上から右下にきますよね。どっち側に撚るかでZとSになるんですよ。
専門的だけど面白い・・・。
一般的にはZ、双糸はZとZを合わせてSに撚っていくんですよ。それによってZのトルクをSに撚ってるんですよ。何回撚るか、やりすぎてもやらなさすぎてもだめなんですけど、それを完璧にやるのはなかなか難しい。
ファクトリエでつくってもらったTシャツは・・・。
はい、バランスを取った糸でやってますね。
今枝さんのTシャツは、そうやって双糸で作られている。
糸はそうですね。通常は超長綿を使うと生地が柔らかくてクタッなってちゃう。やわらかすぎると張りがなくなってしまうんですよ。
今枝さんのTシャツは張りがありますよね。すごく柔らかいんですけど、やわやわじゃないというか。しっかりしてて、肌触りがやわらかい。
そうですね。
ね。
あと糸を太くしてくというのもしっかりした生地にするための方法。ただ、当社ではそうはしていなくて、編み目を細かく詰めてるんですよ。編み立てのときに。
ぁ!!!(確かに目が詰まってる)。
▲今枝さんの生地
丸胴の編み機で
ふわ~っが、ぱり~っになる
うちのこだわりは編み目を細かくして密度を高めていることもひとつですが、小口径で編んだ生地というのは変な力がかからず風合いがよくなります。
なんでかからないんですか?
かけれないというのが正しい表現かもしれないですけど、生地はチューブのようにつながって出来上がるので、縦に引っ張ったり横に引っ張ったりがしづらいんですよ。
まるーいから!
やろうと思えば、縦には引っ張れると思うんですけど丸いから横にも斜めにも変に力をかけづらいんですよね。
今枝さんのは着用を繰り返しても変にゆがんでこないという感じですかね。
はい、一番トルク(撚れ)が取れた状態のところでセットして作ってますんで、その後にTシャツをつくっても変にねじれない。
ほんとに今枝さんのTシャツってリピートする方が多いんですよね!実際に着て、2枚目3枚目をご購入するかたがすごく多いのでやっぱり着心地とか、そのあたりのこだわりが反映されて、着ているかたがわかってくださっているのかなっていう感じはしますね。
ずっと着てるとふわっとした感じはなくなってくるんですけど、逆につるっとした感じになります。
確かにふわっとしてますもんね、新品の状態だと。
ふわーっが、ぱりぃっになります。笑
(ふわーっが、ぱりぃっ・・・)今枝さんはTシャツ着てますか?
着てます着てます。笑
さて、ぜひ丸胴編みの小口径の機械を見せていただきたいんですが、可能ですか?
はい、大丈夫です。


前編はここまで!

Tシャツの生地にいろんな知らない秘密、こだわりがたくさんありましたね!今枝さんのお人柄も伝わっていたら嬉しいです。

後編では、工場の中をご案内していただいた様子をお届けしますのでお楽しみに!
《登場した工場はココ!》
愛知・今枝メリヤス株式会社
多くの工場が大口径の編み機に設備投資を行い、生産効率を追い求め、いつの間にか小口径の編み機を扱える工場が少なくなってしまいました。
しかしながら、機械さえあれば良いというものではありません。昔ながらの小口径の編み機は機械それぞれに個性があり、また工場の環境によっても出来上がる商品に差が出るため、蓄積されたノウハウと技術が必要なのです。それらを扱える職人を擁していることも大きな特徴です。

所在地: 〒491-0051 愛知県一宮市今伊勢町馬寄字西更屋敷15-1
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中嶋 みき
名古屋店の中嶋です。その服を着ている今日の貴方が素敵!と言われるような、その人それぞれに寄り添うご提案をしたいと思っています。私自身は枠やカテゴリーにとらわれたくない「あまのじゃく」。新しい発見をこのマガジンを通して一緒に探していきましょう!