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シャツはなくならない。AI時代を戦い抜くシャツ作りとは?

シャツはなくならない。AI時代を戦い抜くシャツ作りとは?
シャツはなくならない。AI時代を戦い抜くシャツ作りとは?
工場・職人紹介
2020.09.30
小林 正樹
こんばんは。お笑い担当の小林です。(熊本本店の店長です)

先日、代表の山田と一緒にファクトリエが初めて提携したシャツ工場、熊本県の「HITOYOSHI」に訪問。山田と一緒に行くのは初めて!
▲上段左:吉國さん、右:竹長工場長。

シャツ一筋42年。これまで作った枚数は実に2億枚を超える。ただひたすらに、シャツの美しさと最高の着心地を追い求めて技術を磨いてきたHITOYOSHI。かつては百貨店やアパレルメーカーの下請けだった一つの工場が、今や「HITOYOSHI」という一つのブランドとして知れ渡るようになりました。

そんなHITOYOSHIの代表・吉國 武さんとファクトリエ代表の山田の対談をお届けします!
下請けに個性は必要ない。
君たちは工場なんだから
今では日本を代表する一流のシャツ工場となった「HITOYOSHI」ですが、当然ながらその道のりは険しかったんじゃないですか?
2009年、親会社だったトミヤアパレルの経営破綻によって生産子会社16工場は閉鎖の危機になりまして。
そこで、吉國さんが立ち上がったと。
はい。16工場の中でも熊本県人吉市の工場(現・HITOYOSHI)の技術力は非常に高かったんですよ。脈々と続いてきた世界に誇るべき日本の技術を絶やしてはいけない、そう考え、竹長一幸工場長らと一緒にMBO(経営陣が参加する買収)で独立し、いまのHITOYOSHIが生まれました。
最初はHITOYOSHIという自社ブランドはなかったですよね。
そうですね。工場を始めた3年間はOEM(ブランドの受託生産)を行い、下請けとして工場を回していました。
ちなみに、そもそもメイドインジャパンのシャツに需要はあったんですか?おそらく当時は、大量生産ローコストの時代だと思うんですよね。そんな中で高級な日本製のシャツに興味を持ってくれる人はいたのかなぁと。
当時はまだ“代理購買”という、男性のシャツをパートナーの女性が購入するという流れが残っていた時代です。
代理購買、ですか。
なので、どうやって男性のコアなファン(になるうる方)に伝えていくのかなど、困難や悩みが付きませんでしたね。
たしかに。こだわりのものづくりに興味を持ってくれる男性に知ってもらうには、まず女性にどう伝えるか、ということですね。
そうです。そういう悩みもありつつ、あの頃はつらいというよりも、ぼくらの想いが表に出ることはあんまりなかったですね。
というと?
すべて下請け、“君たちは工場だから”ということで。そんな言い方をずっとされた5年でしたね。
会社をつくって5年目。
工場の自社ブランド立ち上げが大きな転機に
HITOYOSHIが今のように全面的に表に出るようになっている状態からは想像がつきませんが、何が転機だったんですか?
工場の風向きが変わったのは、会社を作って5年目ですね。大阪の百貨店からの声かけでスタートさせた「ファクトリーブランド」(=工場の自社ブランド)が評価されるようになった頃です。
今ではファクトリ―ブランドも浸透してきましたが、当時からすると新しいチャレンジですよね。
そうです。ただそのチャレンジの結果は、日本製のシャツの需要はまだまだあることを確信させてくれました。2009年の創業当時に思い描いた、日本のものづくりを絶やしてはいけないという我々の使命は絶対に果たせると。
いいものを求めるお客様がしっかりいたということですね。
はい。1型から始まったオリジナルのシャツも今では400型に及んでいますよ。
「生産性」ではなく
「モノ」と徹底的に向き合いたい
HITOYOSHIのシャツ作りのこだわりについても深く掘っていきたいんですが、うちの(ファクトリエの)商品開発の岡田さんも、HITOYOSHIのシャツを見てその縫製の丁寧さや細かさに感激してるんですが(笑)、具体的に何が違うんですか?
大量生産のシャツでは、シャツ作りの工程数を40~50くらいに抑えます。
できるだけたくさん作るため、ですね。
そう。1日でできるだけ多くの「量」をこなそうと動いています。しかし、HITOYOSHIの工程数は実に80~100。
2倍ですか!非常に多くの手間をかけるということですね。
はい。我々は倍の工程数でシャツを作っています。職人の手作業や手に近いミシンワークなど手間暇がとてもかかります。
まさに、「量」ではなく「質」ですね。
大量生産ではなく、多品種小ロットでのものづくりでしょうね。
たくさんシャツを見てきた吉國さんにお聞きしたいんですが、一流工場とそうでない工場の違いって何なんでしょうね?
その違いは難しいですが、我々のスタンスでお話すると、「生産性」で自分たちを表現するんじゃなくて、「モノ」で表現、勝負する工場がHITOYOSHIです。
「モノ」で勝負する、ですか。
2009年に日本に流通していたシャツは、1億2,700万枚だったそうですがそのうち日本製は400万強だと言われてます。日本のシャツ工場は年々廃業に追い込まれていますので、今現在はもしかすると200万枚くらいかもしれません。
そんなに激減しているんですね。
そう考えたときに、我々の年間生産枚数の15万枚をどうアピールするのか。もっともっと覚悟を決めて、前に進みたい。というのが昨今の私の考えです。
HITOYOSHIが考える
美しいシャツとは何か
では、その「モノ」についても詳しく知りたいんですが、やはりシャツ1枚を徹底的に研究されるんですか?
自分たちの考えをシャツに落とし込むことはもちろんのこと、イタリアや世界の名だたるブランドのシャツを手に入れて、それをばらして研究します。
完成したシャツをばらすんですか!
はい。そうすると面白いことが分かるんです。縫い合わせをばらしてみたら、なぜか内側と外側で寸法が違う。16mmも違う。なんで寸法が違うのか。それは「イセ込み」して縫っているからなんです。
「イセ込み」はスーツジャケットでは当然の仕様ですが、それをシャツにも取り入れていると。
そうです。つまり、イタリアの職人が“手作業”で外側の生地を丸めながら、内側の生地に“手作業”で針を通しているということです。
手作業が圧倒的に多い、というということですね。
ミシンではできない手作業によって肩をイセ込むことで、外側の分量が多くなり肩の動きがとてもスムース。着心地が全く違います。
ミシンではその着心地を実現することは難しいということですね。ミシンを使わず職人の手で1針1針通して、フルハンドメイドだからこそ得られる着心地。
たしかにフルハンドメイドは素晴らしい。しかしHITOYOSHIの職人はそれと同等の着心地をマシンメイド=ミシンを使って作り上げるんです。
ミシンを使って!?
生地を立体的に裁断し曲線を描き、イセ込みしながらスピーディーにミシンで縫っていく。これはそう簡単にできるものじゃない。どの工場も絶対に嫌がるやり方でしょうね。
それほど時間も手間も、そして職人の技術が必要ということですね。
はい。イタリアのシャツで見たフルハンドメイドの職人技と、日本人だからこそできるミシンテクニック。このふたつを掛け合わせたのが我々HITOYOSHIなんじゃないでしょうか。
“進化系”とも言えますね。その縫製技術が、高級メゾンからも信頼を得るHITOYOSHIのシャツを生み出すんですね。
首周りや肩、アームホール、そしてバストからウエストといった動きのある部分を、曲線を描きながら縫い上げるシャツ。これこそがHITOYOSHIが考える美しいシャツなんです。
AIが勝てないもの。それは
“いいものを作りたい”という想い
シャツ、特に日本製のシャツがどんどん減っていく中にあっても、ビジネスマンはシャツを着用しているわけじゃないですか。より効率的に安くシャツを作るという視点で考えると、「AI」や「ロボット」がシャツを作る時代になっていくんでしょうか?
それは間違いないでしょうね。これからの時代、シャツ工場だけでなくいろんな業界のものづくりはもっと「ロボット」や「AI」が活躍する。学習されたロボットが99.9%間違いのない形でシャツを作り、どんどん生産効率を上げていくわけです。
そんな中で、職人はどう戦っていくべきだとお考えですか?
仮にロボットが人の手に置き換わったとしても、最終的な“0.1%”のジャッジは職人が判断します。
0.1%。
例えば「ここはこうしたほうがいいよね」といった判断をするのが職人です。その点だけは人でしかできない、人が勝っている部分。そこに含まれているのは「いいものを作りたい」という職人たちの“心構え”や”意志”だと思います。
いいシャツを作りたいという職人の熱い想い、ですね。
これまでのシャツを取り巻く60年というのは大量生産の時代。シャツをたくさん売るために工場を拡大して、“見えないお客様”のために企画・開発を繰り返してきたんです。
見えないお客様。
たしかに、シャツを作る人々とそのシャツを使うお客様の距離は非常に遠かったんですよね。私も様々な工場を訪問してきて、「この商品を誰が使っているか全く知らなかったけど、ファクトリエと提携してから“こんなにお客様が喜んでくれていたんだ”と分かりました」とおっしゃる方も多いです。
そうですよね。これからの10年は全く違う世界になりますよ。お客様にぼくたちが近づいていく時代。
工場から近づいていく。
近づくためには、今こそ自分たちをどう定義するかが重要だと思うんですよね。つまり、創業当時は我々は「工場」でした。工場はアウトソーシングでほとんどが「下請け」です。自分たちが作りたいものが作れないわけです。
仕様書が届いて、それを作ってただ納品する、ということですね。
まさにそう。でも、これからの時代は我々が「メーカー」になる時代です。メーカーになる、つまりボタンをこちらで押せるようになって、主導権をこちらが握れるということ。
届けたい相手と向き合うだけ
シャツは絶対になくならない
工場がメーカーになり、作り手自身がお客様と真剣に向き合う、ということですか?
そうです。見えなかったお客様が見えるようになることで、大きな変化が起こせるはずです。
ビジネスシーンも大きく変化していますからね。これまでと同じように現場がシャツを作るだけの時代ではなくなるということですよね。
はい、従来の画一的なビジネスシーンが壊れて、シャツやスーツが着られなくなった。たしかにそうですが、そういう変化はファッションの歴史を振り返ると過去にもあったことです。
変化はどんな時代も常に起きている、と。
変化が起きたときに、起きる前に、自分たちのものを届けたい相手と向き合うだけだと思うんです。
これまで起きた変化はどんなものがありますか?
例えば、昔はスーツやシャツを着る人はほとんどの作業を立ってしていたけれど、デスクワークが広がることで、“上着は脱ぐ”であったり、“前かがみになるのでお腹や、肩回りのアームホールが突っ張る”ということが起き始めました。
たしかに。
そのために、内側の生地を少なめにして外に逃がしてあげるような縫製をしないといけないよね。つまりもっともっと立体的に作らないといけないよね。と変化してきたわけです。
では、吉國さんが今考えているこれからの変化はどんなものでしょうか?
これからの10年。そうですね。さらに立体的なものづくりになってくるんじゃないでしょうか。そうするとシャツを畳むことが難しくなってくる。
畳みやすさ、という視点ですか!
そう。だからきっとドレスシャツやインナーシャツは、店頭でも家でもハンガーに掛けることが当たり前になるかもしれない。
フロアから畳のシャツがなくなる・・・。
また、CO2削減でシャツに付属していたビニールやプラスチックを使わないようになるでしょう。そんなふうに保健衛生のためのビニールを使わない時代になるなら、工場の中で一度洗ったものがお客様の手に渡るようになるかもしれない。
そこまでシャツの未来を考えていらっしゃるとは・・・・。
まだまだあります(笑)。さらには、ハンガーに掛けられたシャツが美しく見えるように、シャツのサイズ展開も絞っていくことでお店をすっきり見せる必要が出てくる、とか。
たしかに、展示できるスペースに限りが出てきますね。
しかし、そんなことは近い将来に起こる話です。つまり、HITOYOSHIだけでなくファクトリエともしっかり連携して、提案したいお客様をしっかりと考え、“そのお客様に価値を感じてもらえるシャツを作り、わかりやすく提案する”。まずはそれが一番だと思います。その後はお客様とのキャッチボールですよね。
つねにお客様との対話、ですね。
シャツはなくなりませんよ。
嗜好品となったとしても絶対に残っていく。そのうえで、誰にどんなものを届けていくか、というのがこれからの使命になっていきます。
吉國さんと山田との対談はいかがでしたでしょうか?

横で聞いていた私小林は吉國さんの、そしてHITOYOSHIのシャツ作りにかける情熱をとても感じられて、ますますともに日本のものづくりを盛り上げていきたいという気持ちに。

HIOTOYOSHIのものづくりにさらに注目してくださいね!
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小林 正樹
お笑い担当としてファクトリエに笑いを届けています。メルマガや商品ページの文章作り、熊本本店の店長でもあります!熊本にいるからこそ九州の工場さんに会いに行って直接お話を聞いたり、現場からしか伝えられない熱さをお届けしています!