北海道のコート工場へ初訪問!西洋のロマンを感じちゃいました
山田 敏夫
10
山田 敏夫
18
小林 正樹
0
人気記事
私はものづくりの現場=アパレル工場を見学するのが大好きなんですが、今日は2019年1月26日に訪問させていただいた、北海道にある縫製工場のお話をお届けします!
お邪魔したのは、「トップジェント・ファッション・コア」という縫製工場で、この日はファクトリエ主催の「工場体験ツアー」の引率者として参加してきました。
アウター好きの私としてはワクワクしっぱなしの見学になりました(笑)。
どんなワクワクがあったのか。ご紹介していきますね!
北海道といえばサービス産業のイメージがあると思いますが、世界に誇るこだわりのものづくりをしている一流工場がある、ということをぜひ皆様に知っていただきたいです。
※ちなみに、私が当日スマホで撮影した写真と、後日プロカメラマンが撮影した画像の両方を使ってお届けします。
早速、工場に潜入!
と言いたいところですが、工場体験ツアーの魅力は「観光」もひとつ。個人的にも初の北海道で、旅行気分でスタートしました!(笑)
新千歳空港に到着しようとする飛行機の中から、真っ白で広大な大地が目に入ってきました。私は初めての北海道にドキドキとワクワクを胸に降り立ちました。
しかし、空港の外に出てみると・・・・。
「寒い…」
自然と口から漏れていたと思います。温度計を見ると・・・・マイナス4度・・・。
そして到着してすぐ驚いたのが、札幌に外国人観光客が溢れていたこと。
普段銀座で見慣れている私ですが、それ以上かもしれません。小樽行きの電車に乗ると、僕の周りからは日本語以外の言語がたくさん飛び交っていました。
新千歳空港から札幌まで快速エアポートで40分。札幌から小樽までこれまた40分。北海道の広さに改めて驚きました。
「わざわざこんなとこまで人来るの?興味ある人いるの?」
(いまはコロナの関係でリアルな工場体験ツアーは実施できないのがとても残念です・・・)
ちなみに、アパレル業界一筋の工場の社長や職人さんは、ツアーの前にこうおっしゃっていました。
「ほんとにわざわざこんなとこまで人来るの?興味ある人いるの?」
しかし、そんな心配もよそに、この工場体験ツアーはすぐに定員に達してしまうほど人気のコンテンツで、今回も15名が参加。(これには工場の皆様も驚かれていました)
御幸毛織の岡野さん、石飛(いしとび)さんを始め、工場体験ツアーお馴染みの方や初めましてのお客様も。皆様少し緊張した面持ちでしたが、集合して30分で打ち解けることが出来ました。
なぜでしょうか。簡単です。ご馳走を皆で食べたからです。
北海道といえば海の幸。この極寒の海で引き締まった魚を職人さんが握ってくれました。
「魚真」。
今回お邪魔したお寿司屋さんの名前です。
どれも新鮮で、特にネタがとっても大きいんです。こんな贅沢なお寿司は東京では中々味わうことができません。
こんなご馳走をいただきながらのランチで仲良くならないわけがありません!
想像を超える工場の外観に一同驚き
なにやら風情のある建物がたくさん見えてきました。
この辺りは「北のウォール街」と呼ばれた大正ロマンの香りが残っており、日本というよりも西洋の雰囲気に近いものがあります。小樽運河も流れる風情あるこの街並み。
歴史遺産散策をしているかのような気持ちで周りを見ていると、ひときわ風格のある建物が現れました。
まさかここで服を作っているとは誰もが思わないでしょう。
旧第一銀行の跡地をそのまま縫製工場として利用しています。
皆さんの口からも「ここですか!?」「え!?」驚かれておりました。
扉を開けるともう驚きばかり。
真っ赤なじゅうたんが敷かれた階段を上っていくと、社員食堂で工場の方々が温かく迎えてくれました。
まずは縫製工場の河村工場長がご挨拶からスタート。
そうおっしゃられていたのがとても印象的でした。
ミリ単位の調整を行う「パターン・CAD室」
見学させていただいた工程それぞれをご紹介していきますね。
まずここは、いわば「工場の指令室」。
オーダースーツ、オーダーコートのサイズ調整や型紙出力をして全工程の基盤となる非常に重要な場所です。オーダーの服は1人1人サイズが違うので、ミリ単位での調整になります。
データを入力すると近くの機械に送られ、データ通りのパターンが型紙にペンで記されていきます。そのまま裁断まで行い、あっという間に型紙の完成です。
柄を揃える作業をまさかの手作業で行う「裁断場」
また「表地」を綺麗にエージングするための機械を見学。
皆で口を揃えて驚いていたのは、「柄合わせ」を手作業でやっていたこと。
スーツやコートをオーダーする時、「無地」の生地と比べると「柄物」の方が多少納期が遅くなることがあります。その理由がこの「柄合わせ」にありました。無地の場合は「柄合わせ」が不要になるため少し早くなる。確かにこれは納得です。
加湿装置で安定させる工程に驚き!
ここで珍しい機械を発見!
スーツやコートの各パーツに対応できるように、様々な形をしたプレス台がたくさん並んでいました。職人さんのハンドプレスの技術を目の前で見学。自分のシャツを自宅でアイロンしているのがかわいく見えるほど、複雑な動作で高速にプレスを掛けていきます。
この工程でどれだけしっかりプレスがされているか。
完成品の縫製がずれることなく、より立体的で美しい仕上がりになるかがこのプレスにかかっています。
職人本人たち。検品の工程
商品のクオリティに一番厳しいのは、作った本人たちに他なりません。
当たり前といえば当たり前なのですが、ここを通ると商品が世界中に渡っていきます。お客様の手に渡るまでが仕事、という徹底した商品管理が世界中のブランドからの絶大な信頼を得ているのだと確信しました。
業務用ミシン体験で職人の技術の高さを実感
今回は御幸毛織の生地を使ったかわいいティッシュケース作りです。
工業用ミシンを使ってゼロからケースを作るのは、とてつもなく難しいので、職人さんにあらかじめ型を付けてもらい、最後の仕上げ工程を体験してもらいました。
工業用ミシンは、パワーもスピードも家庭用ミシンの何十倍もあるため扱いが難しく、参加者の皆さんは職人の技術の高さを改めて実感したことだと思います。
有志でお食事に
あっという間の初北海道でしたが、目に入るもの全てが新鮮。頬に当たる風は、ここが日本で一番寒いところだということを文字通り肌で感じることができました。砂糖菓子のような雪は幻想的な風景を創り出していました。
工場ツアーの目的は、「お客様」と「工場」を繋ぎ、ホンモノのものづくりを体感してもらうこと。
ツアーに参加されたお客様はもちろん、この記事、この動画をご覧いただいた方にもその魅力が伝わればうれしいです!
遠路はるばるご参加いただいた皆さん、お忙しい中ツアーに全面的にご協力いただいたトップジェント・ファッション・コアの方々、御幸毛織の岡野さん、石飛さん、美味しいお寿司を握ってくださった魚真さん、ありがとうございました!