-浅田真央(フィギュアスケーター)× 山田敏夫(ファクトリエ代表)
山田:
THE ICE(浅田真央さん出演のアイスショー)10 周年おめでとうございます。
浅田(敬称略):
ありがとうございます。無事終わりました。
山田:
大変でしたね。
浅田:
今回は 10 周年だったので、自分の出番も多くて大変だったんですけど、でもたくさんの方に来ていただいたので、逆にパワーもらったし、10 年間たくさんの方が来てくださるっていうのは嬉しいことだなあって思いました。
山田:
この 10 年、全公演を観に来られた方もいらっしゃるんじゃないですか。
浅田:
10 年間、欠かさず観に来てくださっている方が結構いるので、これだけ応援してもらってるんだとパワーをもらい、また頑張ろうって思いました。
山田:
THE ICE を観に行った時に、各パートの衣装が印象的でした。あれは全て真央ちゃんもデザインに携わってるんですか?それとも衣装は完全にお任せ?
浅田:
最初からできているんですけど、もうちょっとこうがいいとか、ここはもうちょっと狭くしてほしいとか、そういうのは意見を言ってますね。
THE ICE は特別
山田:
それでも、何度も出番はあるので練習も必要でしょうし、衣装も確認していたら大変じゃないですか?
浅田:
でも、思い入れもあるし、やっぱり。10 年間出ているから。大変でもあり、プレッシャーでもあり。終わってみたら、たのしかったな!終わっちゃうの寂しいな!っていう思いはありましたね。始まる前はもう無理ー!!って思ったけど。(笑)
山田:
衣装へのこだわりが強いんですね。それは普段もそうですか?
浅田:
普段も、普段も。スカートのところとかデザインに関しては結構言います。結構こだわっちゃう。でも好きじゃないと、一回しか着ないです。次違うのに変えちゃう。好きだとそればっかり着てます。
山田:
今回の衣装にこれ気に入った!ってものはありましたか?
浅田:
今回の THE ICE で着てた黒い衣装はお気に入り。羽をちょっと付けたり、少し手直ししてもらって。
普段着について
山田:
フィギュアでは衣装へのこだわりが強いですが、普段の真央ちゃんにとっての服っていうのはどんなものですか?
浅田:
服ですか。普段はもう本当に練習着ばっかりなんですよ。1週間のうちに私服着るのが1回だけなんですね。しかも1人でいるときは本当に楽な格好が多いんです。たぶん本当におしゃれする時って、試合の後のパーティーとか、ちょっとした食事に行くときとか。そういう時におしゃれをすると気分は上がります。
山田:
私服を着るのは貴重なんですね。(笑)
浅田:
貴重です。私服って週に1回あるかないかですから。シーズンはいったら月に1回あるかないかです。
山田:
その時は私服に何を求めるんですか?普段は練習着で締めつけられるから、楽なものを求めるのか、それとも貴重な機会だからおしゃれにこだわるのか。
浅田:
おしゃれする時は自分の着たい服を着ますね。特に流行物とかではなく、自分の着たいものを。最近のお気に入りはカジュアルスタイル。スニーカーに合う服とか。今日の服装もそうだし、T シャツにデニムとかも好き。夏だしと思って。シンプルが多いかな。
山田:
はじめて真央ちゃんとお会いした時、着てたのがデニムのシャツで、たしかメイドインジャパンでしたよね。
浅田:
そうなんですよ。結構ね、そういうの見ちゃう人です。
山田:
買うときも意識するんですか?
浅田:
買う時もです。
山田:
それはなぜ?
浅田:
やっぱりメイドインジャパンって嬉しいなっていうのもあるし。安心。日本ってちゃんとしてるっていうか。それこそこの前行った工場でもそうですし。もちろん人も優しいですし。
山田:
海外は少し違いますか?
浅田:
海外の人って、もっとおおざっぱな感じがありますよね。だからまあ、日本製って海外のものに比べたら値段高かったりするんですけど、でもそれだけちゃんとしてれば。私はちゃんとしたものを買って長く着ます。
工場でのカシミヤ体験
山田:
今工場の話が出ましたが、東北の工場にも遊びに来てくれましたよね。
浅田:
カシミヤの工場ですよね。あれ本当によかったです。初めて行って。カシミヤって手に届くものじゃないのかなって。
山田:
値段的に?
浅田:
高級な感じがするから。でも頑張れば買えますよね。だから工場に行って一つ一つ手作りしている姿を見て、値段だけじゃなくてそれだけ手間がかかってるから価値があるんだって感じました。
山田:
実際体験してみてどうでしたか?工場の皆さんにはリンキング(縫い目に針を通す作業)をうまい!って言われてましたよね。
浅田:
私は最後の1列やったんですけど、一列やるだけでも10分、20分と時間かかかっていたので。あれ1つ作るだけで手間がかかったのに、全部作るとなると、それだけの時間と手間がかかるっていうのがびっくり。手作りだからこそ心がこもってるんだなとも思ったし、そこのものを買いたいって思いました。
>カシミヤ工場「ユーティーオー」の紹介記事を読む
山田:
愛知は、トヨタの自動車文化があるからか、ものづくりに対してすごくこだわる人が多いと感じてます。物をすごく愛する人が多い気がします。真央ちゃんもそうですか?
浅田:
私は安いものを買うこともあるけど、それだけじゃなくていい物を長く使いたいって思ってるから、ものづくりっていいなと思いました。
山田:
流行のファッションアイテムを買おうとはあんまり思いませんでしたか?
浅田:
スケートをやっていたので、あんまりそういう流行りの洋服を買いに行く時間もなかったですね。最近ようやくですね。それまではスケートばっかりやっていて、休みもなかったから。22歳くらいから休みを取るようになって、ちょっとお買い物を行ったりして。メイドインジャパンとかメイドインチャイナとか、こういうのもあるんだって。それからですね。だからここ2、3年です、ほんとお買い物っていうのは。それまではスケート一本で休みもなかったし。ファッション雑誌も読むことあったかなってくらいです。
ソチオリンピック以降の変化
山田:
ソチオリンピック以降、変わったことはありますか?
浅田:
ソチが終わってから1シーズン、外の世界も見て、気持ちも余裕がありましたよね。ソチまでは本当にスケートだけで。ずっと、やらなきゃと思ってきたから。これまで休みも取りたくない人だったから、休みが取れても何をしたらいいかわからなくて。今は少しゆとりがありますね。やっぱり気持ちの余裕が演技にも出て来ると思うから。休みも大切かなと思います。
山田:
ちょうど先日、熊本地震の被災地に慰問に来てくれました。私個人として本当に嬉しかったですし、避難所にいる多くの方が笑顔になるのを見て、そのパワーの源は何だろうと不思議に思いました。
浅田:
私ができることってスケートで皆さんに何かを、元気を与えたりすることしかできないと思っています。これまで、多くの方に応援してもらっているし、自分のことを知っている方がいるじゃないですか。だから自分が行くことで、少しでも元気になってもらいたい。それだけです。それしか自分ができることがないから。
被災地支援
山田:
東日本大震災でも宮城県を訪れていました。誰もが知っている有名人はたくさんいますが、行動を起こす人は少数です。そこは何が違うのでしょうか?
浅田:
自分がそれをしないといけないと思ってるからかもしれない。私の母が、「人のためにできることをやってほしい」って言っていたから、それも結構あるかなって思います。「自分がスケートをやるだけではなくていろんな人のために貢献したり、できることをやりなさい」って言っていたのは覚えてますね。だから自分はスケートか自分が行って元気になってもらえることかなって思って。それでそういう活動もしたいなって思っていました。
山田:
本当にたくさんの人が真央ちゃんの笑顔に励まされたと思います。
浅田:
そうだったらいいなと思います。たくさんの方が笑顔になってくださって、それがうれしくて、逆に私が元気になりました。普段スケートをするときも、この会場に来てくださった人が、ひとりでも幸せになって帰ってくれたらいいなと考えています。そうすると、その方が家に帰ったときに、そのご家族も幸せになって、その方の職場や学校にも連鎖する。その笑顔の連鎖を作れたらいいなって思います。
山田:
そうすると、世界平和には真央ちゃんのショーを観に来てもらうのが一番早いですね。(笑)本日は貴重な時間をありがとうございました!フィギュア以外の話もたくさん伺えて、とても楽しかったです。
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