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The Essence of Our Suit Collection vol.1

Summer Trip

ファクトリエのオーダースーツは美しいシルエット、体になじむ着心地を
実現すべく縫製・素材・パターンを追求しました。

縫製は日本有数のオーダー専門縫製工場と、
生地は国内外の最高といわれる織物工場と、
それぞれと手を組み、ファクトリエのスーツは完成します。

第一回は、今回のスーツを手がける縫製工場についてご紹介。

そのこだわりをご堪能くださいませ。

vol.1

宮内庁御用達のオーダー工場

東北新幹線「那須塩原」駅下車、そこから車で20分ほど行くと、今回のオーダースーツの工場、株式会社ナス夢工房さんに到着します。ナス夢工房さんはブラックフォーマルで著名なカインドウェア社の工場で、戦後に渡辺前会長が冠婚葬祭用の略礼服を作ったことがきっかけで、長年、宮内庁御用達(※)とされてきました。

※「宮内庁御用達」について、現在制度はなくなりましたが、今もなお皇室から厚い信頼を得ています。

生産数は、日産100着。特徴である棒衿は首廻りに吸い付き、背骨に重心が掛かるように作られているため服の重さを感じさせません。棒衿は取引ブランドから提供される衿のパターンを一度大きく作り直し、クセ取りで縮める(縮めた時の寸法が規格寸法となる)ことにより伸縮自在の衿を作ります。これにより、どのような首の太さのお客様が着用されてもきちんと首に吸い付く衿にすることができます。

衿には棒衿仕立ての他に、見えない部分にもこだわりがあります。それは、衿芯の地の目が左右対称になるよう2枚を縫い合わせている点。「1枚裁ちの衿芯」と「2枚を縫い合わせた衿芯」の二枚を対応させています。一般に横地の方が伸びやすく、クセ取りを行ないながら衿を仕上げる場合は地の目を左右対称にして衿芯を作らないと製品になったときに左右で衿の形状が変わってしまいます。

この手法は職人が丸縫いをするようなフルオーダースーツではポピュラーですが、コストや手間が掛かってしまう上に見えない部分なので既製品では省かれてしまうことが殆どです。200工程を超えると言われる工場ならではの緻密で丁寧なものづくりといえるでしょう。

生地を縫製する度にプレスを当てるのもこだわりの一つ。仕様については、どのようなシルエットにするか何度も工場へ通い、決めていきました。

※下の写真は、打ち合わせを重ねる高瀬社長(左)と弊社山田(右

スーツの衿付け処理には「本割り」と「片倒し」の2種類の方法がありますが、今回のスーツは“本割り”を採用。片倒し(生産性に優れ手間の掛からない方法ですが、仕上げられたゴージ線は厚みがありシャープな線にはなりません)。

「本割り」と「片倒し」については、見分けることが難しいと思われるでしょうが、ゴージ線を触り比べると一目瞭然です。とても技術が必要となる方法ですが、本割りで仕上げられたゴージ線(衿と身頃の縫い目)は薄く軟らかいのでシャープな線になります。

ボタンホールにはメスを入れてから穴をかがる「先メス」と、穴をかがってからメスを入れる「後メス」の2種類。

「先メス」は先にメスを入れてから穴をかがる為、口が開いたようなボタンホールになってしまいます。それに比べ「後メス」は穴をかがった後にメスを入れる為、全体的に細く、目が揃ったボタンホールになります。

※後メスはメスの落ちる位置が少しでもずれてしまうと糸が切れてしまうリスクが高くなるので穴かがりミシンの管理がとても重要になります。

この糸切れのリスクを避ける為に先メスで穴をかがることが多いのですが、手かがりのような綺麗なボタンホールにするには後メスでないといけません。

このように、一つ一つの工程を入念に時間をかけて作っていますので、お客様にとっての至高の一着になればと願っております。

いかがでしたでしょうか?

銀座フィッティングスペースにて商品をご覧頂けます。実際にお手に取って、そのこだわりに触れていただければと思います。