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MOCHIHADA(ワシオ株式会社)

FACTORY

倒産寸前の危機を救った三代目。自分たちが作りたいモノではなく「お客様ファースト」で挑むものづくり

創業1955年、靴下の一大産地である兵庫県加古川市で、靴下の卸売りの会社としてスタートした工場・ワシオ株式会社。寒い季節には欠かせない、肌に当たる内側の生地が起毛した「裏起毛」の洋服や小物で先駆的存在で、代表的なアイテム「もちはだ」は、特許製法による圧倒的な暖かさで50年以上にわたって愛され続けています。

ファクトリエでもその人気は圧倒的です。

今回お話を伺ったのは、統括部長で三代目の鷲尾 岳(わしお・たかし)さん。
(上記写真左。右は現社長の鷲尾 吉正さん)

赤字で倒産寸前。帰国後に3代目を継ぐことを決意。

大学卒業後に家業とは離れ中国でビジネスを展開する中、一時帰国した2015年、常々危機感を持っていた家業の経営状況を見て、“自分が親父(現社長)を助ける”そんな覚悟で2016年1月に入社を決意したそう。

-鷲尾さん:
「学生の時からも中国でビジネスしていた時からも、家業をどうにかしたいという志があったわけではないんですよね。三代目を継ぐことを決めたのは、身近な家族が不幸になるのは嫌だな、だったら自分が何とかしなくては。という気持ちで入社しました」。

しかし、意気込んで入社したはいいものの、想像を超える社内の状況に愕然。同じ商品なのに製造原価の計算が担当者によって違っていたり管理が全然されていなかったそう。「何が問題かがわからないのが最大の問題でした」と鷲尾さん。

商品リストはデータ化されておらず、棚卸は1か月半かかっている状況。まず会社の今の状況を把握するためにも、あらゆる情報をデータ化。今まで1か月以上かかっていた棚卸を、自分一人で3日間ほぼ徹夜で行い、現実をはっきりと会社に示したそう。その後、徹底したコスト削減、販路の拡大にも着手。テコ入れしたのは文字通り全て。企画・営業・宣伝広告など、全ての業務の見直しを図ります。

(ファクトリエ主催「工場文化祭2019」で登壇する鷲尾さん)

全てを見直す中で一番大変だったのは何だったのだろう。そんなシンプルな疑問が浮かび、ストレートに聞いてみると、

-鷲尾さん:

「一番を選ぶのはすごく難しいです。1個これをやったからうまくいったわけではないんですよね。“逃げる”という選択肢はひとつもなく、思い付くことを全部100%やった。ただそれだけなんです」。

100%全てを出し切るであったり、全部やりきる。言葉では簡単だけれども、意外と誰もができないことなのではないか、という考えが頭をよぎった矢先、鷲尾さんは続けてこうおっしゃいました。

「決して僕は自分のことを特別な人間ではないと思っていて。ただ、唯一特殊能力があるとすると、圧倒的に逃げないこと。やると決めたことをやりきる、というのを意識しているわけではなく、身体が動く感じです」。

腹が立ってしょうがなかった3年前。しかし“自分がこうしてほしい”をやめてから大きな変化が。

2016年に改革に着手して、社内での反発もたくさんありながら、一歩ずつ改善を繰り返してきた鷲尾さん。3年前(本インタビューが2019年10月)と今で、本人が感じている社内の変化についても伺いました。

-鷲尾さん:

「3年前の当時は、僕の考えと会社や社員の考えや感覚が大きくずれていました。僕が“絶対にここはこうあるべきでしょ!”と声を上げても、期待したレスポンスがなかったりして、正直腹が立つこともありました」。

ただ、そんな自分の感情について、ここ1年で変化があったと言います。

「あの頃は、反発されようがされまいが、ただの“強さ”でやっていた感じ。
協力者がいたわけでもないし、自分よりも20歳も30歳も年上の方々も多く、年齢的な部分でも従業員との距離感がありました。ただ、毎日社員のみんなの顔や言動をずっと見ているうちに、“自分がこうしてほしい”という考え自体に意味がないことに徐々に気づき始めたんです。“みんなに動いてもらいたいなら、みんながやってほしいことを、僕がまずやることが大切だ”と」。

鷲尾さんは続けます。

「人って自分が行動しないのに、相手から見返りを求めるじゃないですか。自分がやらないのに欲しがるというか。でも、人は誰かのために動いてるときってとても幸せ。片想いの恋愛と同じで、好きな人に振り向いてもらうためにいろんなことをやっていると、なんか幸せで楽しい。それは人間の深い心理だと思うですよね。そういうことに気づき始めてからは、自分の欲を満たすために発言するんじゃなくて、相手の立場に立って、相手のメリット・利益になるように発言や行動するようになりました。1年前くらいにその考えに至ってから自分の行動を変えたことで、会社も良い方向に変化してきてる気がします」。

最近は人の心理や行動を考えすぎて、ちょっと哲学者っぽくなってきました(笑)、と笑顔でお話してくれました。

ものづくりは職人のエゴで作ってはいけない。あくまでもお客様の生活に入るんだという意識が必要

会社がポジティブにどんどん変わっていく中、クラウドファンディングなども通して、「もちはだ」を新たなステージに上げるなど、ものづくりにおいても新たなチャレンジをされています。

-鷲尾さん:


「モノというのは、ものづくりをする人の“エゴ”として作ってはいけないと思っているんです。あくまでもモノや洋服は、お客様の生活に入っていくもの。だから、“自分たちが作りたいモノを作りました”というスタンスはだめで、やはり、お客様がほしいモノは何かを考えて作らなきゃいけない」。

3年前の「もちはだ」も振り返りながら、当時は「自分たちの商品はこんなに暖かいんです!」という、あくまでも職人目線が強かったと言います。

「圧倒的な暖かさがあって、絶対に人を幸せにできる商品なのに、商品の見た目がダサいとか、この肌着はいつ着るのかがわからない、みたいな変な理由でお客様に選ばれなくなっていたんです。商品の“本質的”なクオリティはめちゃくちゃ高いもかかわらずです」

そんな考えから鷲尾さんが強く押し出したメッセージは、「もちはだを着たら、あなたの寒いがなくなる」だったそう。

-鷲尾さん:

「生活において、この場所だったらピンポイントで使えるっていうメッセージを明確にして届けるようにしました。この商品を使えばどんな場面で幸せになれるのかという。つまり、あくまでも相手ファースト、お客様ファーストなんですよね」

あくまでもお客様の生活で使われることとしっかりと向かい、ものづくりを行う。インタビューしたこちらも身が引き締まる想いでした。

ファクトリエに期待するのは、お客様の代弁者

熱く語っていただいた鷲尾さん。最後に、ファクトリエについて期待することや想いを聞いてみました。

-鷲尾さん:

「ファクトリエさんの取り組みは、工場のためにもなってお客様のためにもなる、という両者を幸せにするという考えでされていると思っています。

工場はお客様のことをちゃんと見て考えて、市場で受け入れられる商品を作ることが重要。その点で言うと、お客様との接点が多いファクトリエさんには、“お客様が求めていることはこうです!”っていう意見を今以上にどんどん工場に発信してもらい、もしも工場が間違った商品を作ったらそれを指摘して正しい方向に修正するという役目を担っていただきたい、と心の底から思ってます。

そうすると工場全体がますます盛り上がっていくんじゃないかと思います。僕たちにもどんどん意見ください!(笑)」

ファクトリエがかかわったことで、工場が自分たちでブランドを作って自社だけでやっていけるといいですよね!と語っていただいた鷲尾さん。

ファクトリエを通して、ワシオのビジョンである「世界から寒いをなくしたい」をもっともっと世の中に広めたいとも語ってくれました。

クラウドファンディング含め、挑戦し続けるワシオ株式会社の活動にぜひご注目ください。

ワシオ株式会社

1955年、靴下製造業として創業。今では特許製法で作る、特殊防寒肌着「もちはだ」をはじめ、靴下やネックウォーマー、アウターなどを手掛ける。国民栄誉賞を受賞した登山家・植村直己氏が南極大陸大冒険にワシオの靴下を使用したことでも有名。3代目の鷲尾 岳(わしお・たかし)氏はクラウドファンディングやメディア出演などを通して、新たな商品価値の訴求に取り組んでいる。

兵庫県加古川市志方町高畑741-1