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FACTORY

アオが紡ぐ「究極の心地よさ」と“持続可能な継続”の哲学

老舗縫製工場が歩んだ「下向き」からの脱却と再生

新潟県糸魚川市。北アルプスが日本海へと落ち込む峻烈な自然に囲まれたこの地で、60年以上にわたり衣服を縫い続けてきたのが「美装いがらし」。100%を下請け製造(OEM)に依存する一般的な縫製工場でした。

しかし約20年前、工学部出身という異色の経歴を持つ五十嵐昌樹社長が家業に戻ったとき、そこにあったのは価格決定権を持たず、将来への不安から職人たちが一人、また一人と去っていく過酷な現実でした。

「このままではものづくりの現場が無くなってしまう」という強い危機感、そして尊敬する経営者から言われた「社員を早く解放してあげなさい」という厳しい叱咤が、五十嵐社長の心を動かしました。工場が自らの足で立ち、社員が未来に希望を持てる「生涯継続できる武器」を持つために、株式会社アオを設立。2004年、国内ファクトリーブランドの先駆けとしてガーゼ専門店「ao」は産声をあげました。

誰もが避ける「難素材」100種類以上のガーゼを操る卓越した技術力

アオがブランドの核として選んだのは、医療用やベビー用品として馴染み深い「ガーゼ」でした。

しかし、当時ガーゼを主役にした大人の日常着がほとんど存在しなかったのには理由があります。ガーゼは糸の打ち込みが甘いため、裁断したそばから繊維が解けてしまう「滑脱」や、縫い目が寄ってしまう「目寄れ」が起きやすく、製品として扱うにはあまりに脆く困難な素材だったからです。
アオはこの「誰もが避ける難しさ」を、自社にしかできない強みに変える道を選びました。現在取り扱うガーゼは100種類を超え、定番のオリジナル素材だけでも30種類にのぼります。特に、二重や三重のガーゼを繋ぎ止める「接結(せっけつ)」という糸のピッチにこだわり、あえて縫製が極めて難しくなる広い間隔で接結することで、生地の間にたっぷりと空気を含んだ、究極に柔らかく軽やかな風合いを実現しています。

常識を覆す「縮率35%」と科学が証明する、究極にストレスのない着心地

アオのものづくりを象徴するのが、アパレル業界の常識を覆す「製品後加工」のプロセスです。通常の服作りでは洗濯後の縮みを防ぐために生地の段階で寸法を安定させますが、アオは天然素材本来の風合いを損なわないよう、縫製後に染色や洗いを行うことで、最大で縦横合計約35%前後という驚異的な縮率(縮み)をあえて許容しています。これは一般的な基準である3%から5%という数値を遥かに上回ります。

「縮むのであれば、その分だけ大きく作ればいい」という逆転の発想により、完成サイズの約1.3倍から1.5倍という巨大なサイズで縫い上げ、最後に凝縮させることで、繊維にストレスを与えない極上の肌触りを生み出しているのです。

さらに、2010年には信州大学繊維学部との共同研究を実施し、素材の肌ざわりや着用時の着心地を数値化。感性的な「心地よさ」を科学的なエビデンスに基づいてパターンの改良に繋げることで、理系出身の五十嵐社長らしい精密なものづくりを徹底しています。

「赤ちゃん基準」の優しさと、100年先へ物づくりを繋ぐ「継続」という哲学

アオが最も大切にしている理念は、すべての製品において「赤ちゃんが着られる基準」を守ることです。創業以来、たとえ化学的な染料を用いる場合でも、肌への刺激となるホルマリンを一切使用しない「ノンホルマリン」での製造を貫いています。この徹底した安全性へのこだわりは、アトピー肌の方や化学物質に敏感な方からも、「アオの服だけは安心して着られる」という絶大な信頼を寄せられる理由となっています。

五十嵐社長にとってのものづくりとは、単に良いものを作るだけでなく、それを「継続」していくことに他なりません。自社ブランドが売上の約半分を占めるまでに成長した今、工場はかつての「下向き」な姿を脱し、若い職人たちが家族の未来を描ける場所へと変わりました。糸魚川の地で紡がれる究極の心地よさは、着る人の心を満たすと同時に、日本の物づくりの誇りを次世代へと繋ぐ確かな力となっているのです。
株式会社アオ
株式会社アオ

縫製が極めて難しいとされるガーゼ素材に特化し、100種類以上の素材開発を通じて「究極の心地よさ」を追求。 創業60年を超える縫製工場の技術を基盤に、商品企画から素材開発、パターン設計、製品後加工までを一貫してコントロールする体制を整えています。

新潟県糸魚川市大字中宿942