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ファクトリエ フードが目指す未来

いよいよファクトリエから
「ファクトリエ フード」がスタートしました。
新しい挑戦をするにあたり、パートナーとして
新事業を支えてくださるのが
JR東日本で数々の地域活性化ビジネスを
仕掛けてきた鎌田由美子さんです。
どんなきっかけでフード事業が生まれ
どんな未来を描いているのでしょうか。
ふたりのインタビューをお届けします。

コロナで急展開。”いつか”が現実に

ーフード事業について、ふたりの間ではどんなやりとりがあったのですか。
山田 :
最初のきっかけは1年半くらい前。鎌田さんがJR東日本を退職された直後にお会いして、“食の分野でなにかご一緒できることがあるといいですね”というお話をしたことを覚えています。
鎌田 :
そうですね、私はもともとJR東日本で地域活性化をやっていたときから、いつかサラリーマンを卒業したら食の関係でもっと地域に入り込み、産地とマーケットをつなげるような仕事がしたいと思っていたんです。そんなときに山田さんにお会いして、日本の縫製工場を元気にしようとやっておられることに共感しました。私自身がファクトリエの顧客でもあり、商品を愛用していましたので親近感を持ちました。食も同じだなと思っていたので、いつかご一緒できたらと思っていました。
それで、ちょうど留学前にお会いして、こんなことをしてみたいという話をして、帰国後にご縁が実現したという感じです。
山田 :
以前から僕たちは熊本店で九州の農家さんを招いてイベントをしていましたが、それがコロナになり苦しんでいるゲストでお呼びした農家の方々の少しでも力になりたいと思って支援を目的にファクトリエマルシェをはじめ、食材を販売しました。そこで安心安全をベースにあって”語れる食べ物”がお客様に喜んでいただけるという実感を得ることができて。ちょうど鎌田さんがご帰国されたタイミングだったので、話を進めていきましたね。
ーアパレルと農業と、共通している課題はあるのでしょうか。
山田 :
日本のアパレル工場が抱える問題として、表に出ていないという問題があります。表に出ないからプライドを持って働けないというのもあるでしょうし、原価を抑制されるからこんなものでいいかとなってしまう。だからそこに光を当て、作り手を伝えることは、いいモチベーションになりますし、お客様が喜ぶ服作りになっていきます。
鎌田 :
農業の場合もまったく同じなんです。今回、ファクトリエ フードで発売前の段階でも、農家さんがすごく変わってきているんですよ。表に出ることと、原価を叩かれないということは農業の世界でもどれほど重要なのかを感じます。そこがまさにファクトリエがやってこられたことがですし、他の産業にもつながると思っています。
山田 :
アパレルの場合はもっと深刻で、守秘義務があるので作っているブランド名も言えませんし、流通も複雑です。商社やメーカーなどがいて、どんな人が作ったのが見えない。工場というのは鍵のかかった部屋にいたような感じなんです。
鎌田 :
ブランド名が言えなくても、自社ブランドを作ることは可能ですよね。
山田 :
ブランド側からするとよしとはされないです。同じものが安く売られることになるので、変なことをするなよっていう圧力がかかります。
鎌田 :
海外の場合はどうなんですか。
山田 :
海外だと特にヨーロッパでは、ものづくりからブランドが生まれているところが多いんですよね。工房じゃないところがブランドになっていくという日本のスタイルはアメリカ式です。

生食用と加工用で価値が変わってしまう

鎌田 :
昔、ハイブランドとファストファションのブランドが同じ工場で作られているのを見てすごく驚いた記憶があります。農業の世界はそれよりはもう少し緩やかで、自分たちの果物が有名パティスリーなどで使われていることをオープンにして誇りに思っている農家さんも多いです。でも、生食用のものに価値をおき、加工用のものをすごく下に見るきらいがあるんです。加工に向く味の素材はそれだけで作り手からも人気がないんです。そこは洋服とは違いますね。
山田 :
そうですね。
鎌田 :
例えばTシャツを作っている工場とコートを作っている工場。どちらかが下に見られたりすることはないと思います。食においても同じで、生食に求められる価値と加工に求められる価値は違うと思うのですが、加工用のものは下に見られていることにとても違和感を覚えたんです。
山田 :
その事実を僕たち消費者は全く知らないですよね。
鎌田 :
しかもりんごだけでなく、産地全部共通して言えることなんです。
山田 :
海外はどうなんですか。
鎌田 :
海外だと加工用として最初から作ったりもします。果物に関して言うと、そもそもギフトになるようには作られていないんです。果物がギフトになる国は本当にわずかで、日本とアジアの数カ国くらい。欧米では果物をギフトにしません。それは文化の違いであって、今後日本のものは輸出という形でもいけるのではないかと思いますね。
山田 :
一粒が高価ないちごだったり、最近は面白いプレーヤーが増えていますが、そういう人たちがトップラインをあげにいくという流れもあるんでしょうか。
鎌田 :
そうですね、トップラインを上げることは重要だと思います。輸出も増えています。同時にB級品を加工品にしていくというのも農家の収益の面で大事なことだと思っています。また、人気の味だけに偏って生産が集中しているのが今の日本の農業なんです。今回発売するジュースやジャムのように、生果以上に加工で力を発揮するようなものは、隅へと追いやられて、作付けの関心すら持ってもらえていません。
山田 :
今の日本はおいしいとされるものが偏っていますよね。
鎌田 :
はい、好みは人それぞれのはずなんですが。そして追いやられてきたものには、高い栄養のエビデンスがとれているものがあったり、個性的な味であったりとお客様がワクワクするようなものがたくさんあって、ちゃんと価値があるわけです。それをファクトリエのフィールドのなかに引き出していけたらいいなと思っています。
山田 :
本当にそうだと思います。そこが一緒じゃなかったらやれてなかった思いますので心強く思っています。
(▲御所川原のリンゴジュースと緑のりんごはグラニースミス)

”語れる作り手と素材”を大切にしたい

ーファクトリエ フードの第一弾、りんごジュースの手応えはどうですか?
山田 :
非常においしかったです。御所川原や森のかがやき、グラニースミスのように、世間であまり知られていないものに光があたって商品化することができ、お客様に喜んでもらえたら農家の方も喜ぶでしょうし、すごくいい循環ができるなと思います。
鎌田 :
作り手のメッセージを届けるというのは、まさにファクトリエだからできることですよね。世の中にすでに美味しいものやいいものはたくさんあると思います。しかしそれだけでなく、なぜこれを選んだのか、そこを語れるかが重要なんです。味には万人向けのものと個性的だけど好きというものがあります。商品の背景にある選んだ理由も添えたいと思います。またメージャーでない食材にスポットライトがあたり、産地と一緒に考えていけるそんな加工もしてみたいと思っています。
山田 :
鎌田さんらしいですね。今後はどんなアイテムが並ぶ予定ですか。
鎌田 :
オリジナル商品だけでなく、ダブルネーム(他ブランドとの共同開発)のものやセレクト(仕入れ)も考えていますが、「この産地だから」「この生産者だから」「この品種だから」という語れる素素材や語れる作り手であるということは揺るぎません。果物だけでなく、お米系や調味料など、今後は常温の商品でカテゴリーを広げていきたいと思っています。
山田 :
僕は食品を贈答用にすることが多いので、フード事業がファクトリエ内に生まれたというのが個人的にもうれしいです。これからが楽しみですね。