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> 12周年記念Special Contents│「育てるシャツ」 ~HITOYOSHI×お客様・小野澤さん~
12周年記念Special Contents│「育てるシャツ」 ~HITOYOSHI×お客様・小野澤さん~
「育てるシャツ」
HITOYOSHI×お客様・小野澤さん
2022年ごろからファクトリエをご愛用いただいている小野澤さん。
ビジネススタイルはスーツにドレスシャツ。
身に着けているのは“特にお気に入りのシャツ”として選ばれた「HITOYOSHI 身体を起点につくる美しいオーダーシャツ /ロイヤルオックス/ブルー」です。
そしてこのシャツを手掛けたのは、これまで2億枚のシャツを作ってきた日本を代表するシャツ工場「HITOYOSHI」。
そんなシャツ好きの小野澤さんと、「HITOYOSHI」の社長・吉國さんに、ファクトリエ山田がお話を伺いました。
干支一回り。ファクトリエ最初の提携工場「HITOYOSHI」
山田:
HITOYOSHIに門を開いていただいたのが2012年。あれから早いもので、干支を一回りできました。ありがとうございます。
吉國:
おめでとうございます!
山田:
12年、何とか続けてこれていますが、最初に同じ船に乗っていただいた吉國さんからは、ファクトリエの12年の過程はどのようにご覧いただいていますか?
吉國:
約12年前、山田さんが熊本から東京青山のHITOYOSHIのショールームに来ていただいて、その時は強烈なインパクトがありましたね。
しっかりしたコンセプトもあって。12年、徐々にやりたいことを少しずつ進めながら、その流れに僕らも協力することができたという感じですね。
「当初のコンセプトは変わらず、さらに深堀されている」
山田:
12年の間に本当にお世話になってきました。何度もご飯もごちそうになったりして(笑)。
当時に吉國さんが期待していた道筋通りにファクトリエは来ているように見ますか?それともちょっと違う側面も見えていますか?
吉國:
当初考えられていたコンセプトの根幹は変わらず、進んでいらっしゃると思います。
日本全国の何百社もの工場を訪問する中で、色んな工場さんが「腕はあるけどなかなかうまく商品を開発できない」という現状を聞いて、ファクトリエの考えを踏まえながら商品開発を重ねていらっしゃいます。
各工場のオーナーさん、技術者さんと一緒にやりながら、商品をいま開発されているというのは、すごく立派だなぁと思って現状を見ております。
山田:
本当にまだまだなんですが、そう言っていただけるのはとてもありがたいです。
きっかけは、色味と光沢に一目惚れ
山田:
小野澤さんは今日も素敵にシャツをお召しいただいていますが、HITOYOSHIシャツのファンということで、このシャツを着ていて感じることはありますか?
小野澤:
身だしなみやオシャレに気を使う方ではないんです(笑)。
山田:
全くそんなことないです!
小野澤:
今日着ているオーダーシャツは本当に気に入っていまして、色違いで3着作ったくらいです。
山田:
生地はロイヤルオックスフォードですね!
小野澤:
この色は(ファクトリエ商品開発の)岩佐さんにサンプルを見せていただいたときに一目惚れしまして、販売開始したら教えてください!と伝えて、その後すぐに作りました。
良いシャツ、良いスーツを着ると気持ちが引き締まる
山田:
色味を見て一目惚れということですが、どの辺が気に入られたんですか?
小野澤:
ブルーという名前だがパープルに近い色味。もともと紫が好きというのもありますが、他にはなかなかな色味で。
それと、光沢がすごく良いんです。
生地のサンプルではわからなかったが出来上がったものを見ると、縫い目もすごく細かくきれいに縫われていて、見てるだけで、またほしくなってしまいます(笑)
(一同:笑)
山田:
普段はスーツやシャツを仕事でお召しになることが多いですか?
小野澤:
そうですね。仕事ではデスクワークも多いので、毎日シャツにスーツです。
なので、良いシャツやスーツを着ると、パリッときちっとしないといけないなぁと思いますね!
脇のツッパリがなくなった。既製シャツには無い着心地の良さ
山田:
昔からシャツに興味があったんですか?
小野澤:
実は全くそんなことなくて。
ファクトリエで買うようになる前まで、量販店で既製品で済ますような。
山田:
量販店の既製品と比べると価格もかなり違うと思いますが、その点は気にならなかったですか?
小野澤:
たしかに価格だけ比較すると高いですが、このオーダーシャツにはそれだけの満足感があります。
山田:
満足感は具体的にどのあたりから感じるものですか?
小野澤:
やっぱり着心地。
人って体型がそれぞれ異なると思いますが、これまでの既製シャツは脇が突っ張ったりすることが多かったんですが、やっぱりオーダーで体に合うように作ると、全然着心地が違うなというのが一番満足しているところです。
全く異なる既製シャツとオーダーシャツ。形になるまで10年の歳月が
山田:
吉國さん、「オーダー」と言葉で言うのは簡単ですが、もともと既製品を美しく作るというのがHITOYOSHIだったと思いますが、オーダーに着手するのは難しかったんじゃないでしょうか?
吉國:
そうですね。HITOYOSHIは約16年になりますが、既製シャツの場合、サイズやデザインはぼくらで表現しやすい。
一方オーダーというのは、人それぞれの肩幅や体型が異なりますので、それに合わせて立体的に表現するというのは、なかなか難しいです。
(パターンオーダーのため、サイズのカスタマイズも考えると)全体のヌード寸法(衣類を着用していない時の身体のサイズ)から112%くらいのサイズ感で調整やってあげると、動きも見た目も美しなる、というのが既製品とオーダーの違いかなと。
それも最初は分からないことばかりだったので、改めてパターンメイキングやサイズメーキングの勉強もしなおして、最終的にはオーダーの生産もこぎつけた。
始めてから形になるまで、10年くらいはかかりましたね。
山田:
(前身のシャツ工場も含めて)今までの歴史あってのプラス10年ですから、ノウハウのあるHITOYOSHIでも相当難しかったんですね。
吉國:
オーダーシャツはお客様それぞれで生地も襟の形も寸法もすべて1枚1枚違います。工場の技術者はそれに間違いが無いか、1枚1枚検品しなければなりませんし、お届けのリミットもある。
生産体制、検品体制もこれまでとは全然違うので、生産側とたびたび調整を重ねてようやくたどり着きましたね。
これまでのやり方を変えられる工場と変えられない工場がある
山田:
既製品と違って1枚1枚サイズや生地が違うシャツを作るというのは、作る側からすると非効率。
その辺は、大変さはありますか?
吉國:
たしかに大変で非効率です。ただ、お客様の声をしっかり聞くことがこれからはもっと重要になる。その点から、大変でも体制を調整しながら取り組むべきと考えていましたね。
山田:
それはすごいですね。変えられない工場さんもいる。これまでのやり方があるから。
変えられない工場さんの方がほとんどの中、今まで膨大な数の既製シャツを作ってきたHITOYOSHIさんが、オーダーに取り組むというのはかなり現場も大変だったんじゃないですか?
吉國:
かなり勇気のいる舵取りですね。
ただ、きっとファクトリエさんも10年以上かけて苦労しながら、各工場が得意なことややりたいことを見抜いて商品化し、お客様に伝えることで“今まで以上にお客様に喜んでいただけた”という快感を覚えていらっしゃるんじゃないでしょうか。
HITOYOSHIもそれは同じ。お客様が本当に喜んでいただける姿が嬉しいんですよね。
以前は、コレクションを開いて「いいでしょ!」と一方通行の商談も多かったが、いやいや待ってと。
お客様と共同開発したり、意見交流したり、糸からもう少し考えたり。
ユーザーの形に共鳴、共感されるものだからこそ、「着やすくていいよね」と言っていただける。そんな声をいただければ作ってよかったと思える。
これからもお客様の声に寄り添いながら喜んでいただけるようにHITOYOSHIも取り組んでいきたいですね。
HITOYOSHIが考える
これからのシャツ
対談では、吉國さんからこれからのHITOYOSHIが大切にしていきたいことについても触れていただきました。
吉國さんが考えるシャツ作りのテーマは、「CONFORTABLE=快適」。24時365日、心地よく過ごせるシャツ作りです。
このテーマに紐づくキーワードとして、
■エレガント/上品:ただ高級なものを作るのではなく、品のある良質なものをお届けする
■コンテンポラリー/現代的:伝統的なシャツの魅力も大切にしながら、今のお客様が何を考えているかに寄り添っていく
■クリーン/清潔感:洋服の清潔感はもちろん、シャツを着ることで心も清らかで、頭もクリアになるそんなものづくりをしよう
■コンフォート/快適:コロナ禍もありここ数年は衣食住、そして身近な人と快適に過ごせなかった。だからこそ心地よく過ごせることの重要性が増している
これからのHITOYOSHIのものづくりが楽しみですね!
About 12周年記念シャツ
「記憶に残るシャツ」
山田:
今回、12周年記念アイテムとして「12 years」の刺繍をあしらったシャツ「12th Anniversary Limited セルビッチ オックスフォード/ホワイト・サックス」が登場します。
このシャツの魅力はどんなことですか?
吉國:
このシャツもそうですが、ふとした時に頭に浮かぶあの時の思い出、それこそ身に着けていたものを思い出すことがありますよね。
今回のシャツは、5年10年経った後に「あの時もこのシャツを着ていたな」と「記憶に残る」、そんな1枚なんじゃないかと思います。
山田:
私は取材やイベント登壇などの際、制服としてホワイトのオックスフォードシャツを必ず着ていて、その時々のシーンと着ていたシャツがセットになって覚えています。
なので、「記憶に残る1枚」を作りたいというのは、私もとても共感します。
これまでもHITOYOSHIさんとアップデート重ねて新しいオックスフォードを作ってきましたが、12周年記念オックスシャツも記憶に残る珍しいディティールですよね。
ヴィンテージジーンズを思わせる、マニアックな“赤耳”シャツ
吉國:
そうですね。12 yearsの刺繍が入っていることはもちろん、いわゆる「赤耳=セルビッチ」のシャツです。なかなかマニアックですね(笑)。
70年以上の歴史がある兵庫・播州の植山織物さんが旧式の力織機で織った珍しい生地。ヴィンテージジーンズの裾には「赤耳=セルビッチ」と呼ばれる印がありますが、このシャツ生地もその印があって珍しいですよね。
山田:
オックスフォードらしいしっかり感がありつつ、ゴワゴワし過ぎない柔らかさも感じますね。
吉國:
1枚を長く着られるものをめざそう、そんな素材。旧式の力織機で適度に空気も含みながら織ることで、着ていくうちにもっと柔らかくなって肌にもなじみます。
長く着続けながら「育てるシャツ」という感じですね。
山田:
その他のディティールに特徴はありますか?
吉國:
首もしっかりしていて立体的。ボタンを締めなくても首にすっとフィット。
背中は、昔のアメリカンウェアみたいな形で、センターボックスプリーツを採用しトラディショナルな印象に仕上げています。
生地のしっかり感に合わせて、前立てや肩幅も少し大きくして見た目のバランスもとっています。
大きめの高瀬貝ボタンはファクトリエだけ
山田:
ボタンの付け方も珍しい「鳥足付け」。鳥の足のように1点から3方に縫うことで、ボタンが起き上がり取り外しがしやすいですね。
吉國:
ボタン自体も特徴的。大きめの高瀬貝ボタン。最高級のものです。
オックスフォードシャツにこのボタンを付けてるのは、ファクトリエさんだけではないでしょうか?
山田:
生地3センチの間に何回針を通すかという「運針(うんしん)」も細かいんですよね!
吉國:
カジュアルなシャツでは粗めの16針が一般的ですが、このシャツ18針ととても細かくステッチをいれることで、見た目の上品さを大切にしています。
ステッチひとつ、ボタンひとつにこだわるシャツをこれからも作っていきたいですね。
山田:
吉國さん、小野澤さん、今日はありがとうございました!
12周年記念シャツはこちら
買って間違いなし!ファクトリエのマストバイ
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もちはだアンクレット/ユニセックス
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¥ 13,200
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¥ 22,000
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もちはだハイソックス/ユニセックス
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「育てるシャツ」
HITOYOSHI×お客様・小野澤さん
ビジネススタイルはスーツにドレスシャツ。
身に着けているのは“特にお気に入りのシャツ”として選ばれた「HITOYOSHI 身体を起点につくる美しいオーダーシャツ /ロイヤルオックス/ブルー」です。
そしてこのシャツを手掛けたのは、これまで2億枚のシャツを作ってきた日本を代表するシャツ工場「HITOYOSHI」。
そんなシャツ好きの小野澤さんと、「HITOYOSHI」の社長・吉國さんに、ファクトリエ山田がお話を伺いました。
干支一回り。ファクトリエ最初の提携工場「HITOYOSHI」
HITOYOSHIに門を開いていただいたのが2012年。あれから早いもので、干支を一回りできました。ありがとうございます。
吉國:
おめでとうございます!
山田:
12年、何とか続けてこれていますが、最初に同じ船に乗っていただいた吉國さんからは、ファクトリエの12年の過程はどのようにご覧いただいていますか?
吉國:
約12年前、山田さんが熊本から東京青山のHITOYOSHIのショールームに来ていただいて、その時は強烈なインパクトがありましたね。
しっかりしたコンセプトもあって。12年、徐々にやりたいことを少しずつ進めながら、その流れに僕らも協力することができたという感じですね。
「当初のコンセプトは変わらず、さらに深堀されている」
12年の間に本当にお世話になってきました。何度もご飯もごちそうになったりして(笑)。
当時に吉國さんが期待していた道筋通りにファクトリエは来ているように見ますか?それともちょっと違う側面も見えていますか?
吉國:
当初考えられていたコンセプトの根幹は変わらず、進んでいらっしゃると思います。
日本全国の何百社もの工場を訪問する中で、色んな工場さんが「腕はあるけどなかなかうまく商品を開発できない」という現状を聞いて、ファクトリエの考えを踏まえながら商品開発を重ねていらっしゃいます。
各工場のオーナーさん、技術者さんと一緒にやりながら、商品をいま開発されているというのは、すごく立派だなぁと思って現状を見ております。
山田:
本当にまだまだなんですが、そう言っていただけるのはとてもありがたいです。
きっかけは、色味と光沢に一目惚れ
小野澤さんは今日も素敵にシャツをお召しいただいていますが、HITOYOSHIシャツのファンということで、このシャツを着ていて感じることはありますか?
小野澤:
身だしなみやオシャレに気を使う方ではないんです(笑)。
山田:
全くそんなことないです!
今日着ているオーダーシャツは本当に気に入っていまして、色違いで3着作ったくらいです。
山田:
生地はロイヤルオックスフォードですね!
小野澤:
この色は(ファクトリエ商品開発の)岩佐さんにサンプルを見せていただいたときに一目惚れしまして、販売開始したら教えてください!と伝えて、その後すぐに作りました。
良いシャツ、良いスーツを着ると気持ちが引き締まる
色味を見て一目惚れということですが、どの辺が気に入られたんですか?
小野澤:
ブルーという名前だがパープルに近い色味。もともと紫が好きというのもありますが、他にはなかなかな色味で。
生地のサンプルではわからなかったが出来上がったものを見ると、縫い目もすごく細かくきれいに縫われていて、見てるだけで、またほしくなってしまいます(笑)
山田:
普段はスーツやシャツを仕事でお召しになることが多いですか?
小野澤:
そうですね。仕事ではデスクワークも多いので、毎日シャツにスーツです。
なので、良いシャツやスーツを着ると、パリッときちっとしないといけないなぁと思いますね!
脇のツッパリがなくなった。既製シャツには無い着心地の良さ
昔からシャツに興味があったんですか?
小野澤:
実は全くそんなことなくて。
ファクトリエで買うようになる前まで、量販店で既製品で済ますような。
量販店の既製品と比べると価格もかなり違うと思いますが、その点は気にならなかったですか?
小野澤:
たしかに価格だけ比較すると高いですが、このオーダーシャツにはそれだけの満足感があります。
山田:
満足感は具体的にどのあたりから感じるものですか?
小野澤:
やっぱり着心地。
人って体型がそれぞれ異なると思いますが、これまでの既製シャツは脇が突っ張ったりすることが多かったんですが、やっぱりオーダーで体に合うように作ると、全然着心地が違うなというのが一番満足しているところです。
全く異なる既製シャツとオーダーシャツ。形になるまで10年の歳月が
吉國さん、「オーダー」と言葉で言うのは簡単ですが、もともと既製品を美しく作るというのがHITOYOSHIだったと思いますが、オーダーに着手するのは難しかったんじゃないでしょうか?
吉國:
そうですね。HITOYOSHIは約16年になりますが、既製シャツの場合、サイズやデザインはぼくらで表現しやすい。
一方オーダーというのは、人それぞれの肩幅や体型が異なりますので、それに合わせて立体的に表現するというのは、なかなか難しいです。
(パターンオーダーのため、サイズのカスタマイズも考えると)全体のヌード寸法(衣類を着用していない時の身体のサイズ)から112%くらいのサイズ感で調整やってあげると、動きも見た目も美しなる、というのが既製品とオーダーの違いかなと。
それも最初は分からないことばかりだったので、改めてパターンメイキングやサイズメーキングの勉強もしなおして、最終的にはオーダーの生産もこぎつけた。
始めてから形になるまで、10年くらいはかかりましたね。
(前身のシャツ工場も含めて)今までの歴史あってのプラス10年ですから、ノウハウのあるHITOYOSHIでも相当難しかったんですね。
吉國:
オーダーシャツはお客様それぞれで生地も襟の形も寸法もすべて1枚1枚違います。工場の技術者はそれに間違いが無いか、1枚1枚検品しなければなりませんし、お届けのリミットもある。
生産体制、検品体制もこれまでとは全然違うので、生産側とたびたび調整を重ねてようやくたどり着きましたね。
これまでのやり方を変えられる工場と変えられない工場がある
既製品と違って1枚1枚サイズや生地が違うシャツを作るというのは、作る側からすると非効率。
その辺は、大変さはありますか?
吉國:
たしかに大変で非効率です。ただ、お客様の声をしっかり聞くことがこれからはもっと重要になる。その点から、大変でも体制を調整しながら取り組むべきと考えていましたね。
山田:
それはすごいですね。変えられない工場さんもいる。これまでのやり方があるから。
変えられない工場さんの方がほとんどの中、今まで膨大な数の既製シャツを作ってきたHITOYOSHIさんが、オーダーに取り組むというのはかなり現場も大変だったんじゃないですか?
かなり勇気のいる舵取りですね。
ただ、きっとファクトリエさんも10年以上かけて苦労しながら、各工場が得意なことややりたいことを見抜いて商品化し、お客様に伝えることで“今まで以上にお客様に喜んでいただけた”という快感を覚えていらっしゃるんじゃないでしょうか。
HITOYOSHIもそれは同じ。お客様が本当に喜んでいただける姿が嬉しいんですよね。
以前は、コレクションを開いて「いいでしょ!」と一方通行の商談も多かったが、いやいや待ってと。
お客様と共同開発したり、意見交流したり、糸からもう少し考えたり。
ユーザーの形に共鳴、共感されるものだからこそ、「着やすくていいよね」と言っていただける。そんな声をいただければ作ってよかったと思える。
これからもお客様の声に寄り添いながら喜んでいただけるようにHITOYOSHIも取り組んでいきたいですね。
HITOYOSHIが考える
これからのシャツ
吉國さんが考えるシャツ作りのテーマは、「CONFORTABLE=快適」。24時365日、心地よく過ごせるシャツ作りです。
■エレガント/上品:ただ高級なものを作るのではなく、品のある良質なものをお届けする
■コンテンポラリー/現代的:伝統的なシャツの魅力も大切にしながら、今のお客様が何を考えているかに寄り添っていく
■クリーン/清潔感:洋服の清潔感はもちろん、シャツを着ることで心も清らかで、頭もクリアになるそんなものづくりをしよう
■コンフォート/快適:コロナ禍もありここ数年は衣食住、そして身近な人と快適に過ごせなかった。だからこそ心地よく過ごせることの重要性が増している
これからのHITOYOSHIのものづくりが楽しみですね!
About 12周年記念シャツ
「記憶に残るシャツ」
今回、12周年記念アイテムとして「12 years」の刺繍をあしらったシャツ「12th Anniversary Limited セルビッチ オックスフォード/ホワイト・サックス」が登場します。
このシャツの魅力はどんなことですか?
吉國:
このシャツもそうですが、ふとした時に頭に浮かぶあの時の思い出、それこそ身に着けていたものを思い出すことがありますよね。
今回のシャツは、5年10年経った後に「あの時もこのシャツを着ていたな」と「記憶に残る」、そんな1枚なんじゃないかと思います。
私は取材やイベント登壇などの際、制服としてホワイトのオックスフォードシャツを必ず着ていて、その時々のシーンと着ていたシャツがセットになって覚えています。
なので、「記憶に残る1枚」を作りたいというのは、私もとても共感します。
これまでもHITOYOSHIさんとアップデート重ねて新しいオックスフォードを作ってきましたが、12周年記念オックスシャツも記憶に残る珍しいディティールですよね。
ヴィンテージジーンズを思わせる、マニアックな“赤耳”シャツ
そうですね。12 yearsの刺繍が入っていることはもちろん、いわゆる「赤耳=セルビッチ」のシャツです。なかなかマニアックですね(笑)。
70年以上の歴史がある兵庫・播州の植山織物さんが旧式の力織機で織った珍しい生地。ヴィンテージジーンズの裾には「赤耳=セルビッチ」と呼ばれる印がありますが、このシャツ生地もその印があって珍しいですよね。
山田:
オックスフォードらしいしっかり感がありつつ、ゴワゴワし過ぎない柔らかさも感じますね。
吉國:
1枚を長く着られるものをめざそう、そんな素材。旧式の力織機で適度に空気も含みながら織ることで、着ていくうちにもっと柔らかくなって肌にもなじみます。
長く着続けながら「育てるシャツ」という感じですね。
山田:
その他のディティールに特徴はありますか?
首もしっかりしていて立体的。ボタンを締めなくても首にすっとフィット。
背中は、昔のアメリカンウェアみたいな形で、センターボックスプリーツを採用しトラディショナルな印象に仕上げています。
生地のしっかり感に合わせて、前立てや肩幅も少し大きくして見た目のバランスもとっています。
大きめの高瀬貝ボタンはファクトリエだけ
ボタンの付け方も珍しい「鳥足付け」。鳥の足のように1点から3方に縫うことで、ボタンが起き上がり取り外しがしやすいですね。
吉國:
ボタン自体も特徴的。大きめの高瀬貝ボタン。最高級のものです。
オックスフォードシャツにこのボタンを付けてるのは、ファクトリエさんだけではないでしょうか?
山田:
生地3センチの間に何回針を通すかという「運針(うんしん)」も細かいんですよね!
吉國:
カジュアルなシャツでは粗めの16針が一般的ですが、このシャツ18針ととても細かくステッチをいれることで、見た目の上品さを大切にしています。
ステッチひとつ、ボタンひとつにこだわるシャツをこれからも作っていきたいですね。
山田:
吉國さん、小野澤さん、今日はありがとうございました!