紫外線対策になる服装の正しい選び方(色・繊維)

夏の暑い日差しを浴びていると、肌にダメージがある、と聞いたことがありませんか?ではダメージとはどのようなものか?紫外線の仕組みや、紫外線を防ぐ服選びについて解説していきたいと思います。具体的には、どのような素材の洋服が良いか、どんな色であれば紫外線を防ぎやすいかについてもお話しします。

ファクトリエ代表 山田敏夫

熊本県出身。創業100年を超える老舗洋品店に生まれる。大学在学中、フランスに留学しグッチ・パリ店で勤務。一流のものづくり、商品へのこだわりなどを学ぶ。2012年、工場直結ジャパンブランド「ファクトリエ」を展開するライフスタイルアクセント株式会社を設立し、これまで700以上の繊維工場を訪問。2023年、服で負の課題を解決する新規事業「かかりつけ衣」を開始し、自身がアトピー性皮膚炎であることから「かゆみ対策インナー」を開発。著書「ものがたりのあるものづくり ファクトリエが起こす服革命(日経BP)」

紫外線とは?

紫外線は目に見えない光線の一つで、可視光線よりも波長が短く、X線より長い電磁波です。日光中のエネルギーの約10%が紫外線で構成されており、その中でも主にUV-AとUV-Bの2つが肌に影響を与えます。

• UV-A(紫外線A波):

  長い波長で、肌の真皮に到達し、コラーゲン・エラスチンを変性さあせることで、光老化(シミ・シワ・タルミ)の原因となります。

• UV-B(紫外線B波):

  短い波長で、肌の表皮に到達し、紫外線Bによる日焼けや肌の炎症を引き起こします。メラノサイト(色素細胞)を刺激しメラニンを生成させ、シミやそばかすの原因にもなります。

日差しが強い日は外を歩くだけで肌が赤みを持ち、ヒリヒリとした感覚を持つことがあります。その原因はどこにあるのでしょうか?

肌にとってのダメージは?

紫外線による肌のダメージは深刻で、長期的な紫外線を受けることで肌老化や皮膚癌のリスクを高めます。 では、どのようなリスクがあるのでしょうか?紫外線の種類とともに具体的なダメージとしては以下のようなものが挙げられます。

紫外線から肌を守るには?どんな服装が最適?

効果的な紫外線対策ができる服装を選ぶことで、健康的で美しい肌を保つことができます。日焼け止めを塗るより、服などで物理的に遮ることが最もUVブロック力が高いので、衣服で対策することはとてもオススメです。ここでは、服や繊維の選び方のポイントを解説します。

1)長袖でしっかりとガードする

長袖を着ることで、肌の露出を減らすことができ、紫外線から腕や背中をしっかりと守れます。また、体温調節にも効果的。肌が直接日光にさらされないため、体温の急激な上昇を防ぐことができます。特に屋外で活動する場合、日光による体温上昇を緩和する効果があります。

公園やアウトドアなど自然の中で活動する際は、虫などの侵入も防ぐことができますし、コットンや麻など通気性がよく、軽い素材を選ぶことで、暑さを感じにくく快適に過ごせます。

夏におすすめの天然繊維のメリット・デメリット

夏におすすめしたい天然繊維の特徴について、それぞれのメリットとデメリットを以下にまとめます。

1.コットン(綿):

メリット: 通気性が良く、肌触りが柔らかいので快適な着心地が得られます。 吸水性が高いため、汗を吸収してくれます。

デメリット: しわができやすく、シワが気になることがあります。 乾きにくいため、洗濯後の乾燥に時間がかかります。

2.シルク(絹):

メリット: 肌触りが非常に滑らかで、涼しい感触があります。 吸湿性に優れ、汗を素早く吸収してくれます。

デメリット: 洗濯が難しく、手洗いやクリーニングが必要です。 強い日光や摩擦に弱く、傷みやすい素材です。

3.リネン(麻):

メリット: 通気性が非常に高く、涼しく肌離れも良いです。 自然な風合いやシワ感が、カジュアルでおしゃれな雰囲気を演出します。

デメリット: シワができやすく、シワが気になることがあります。 柔らかい素材なので、型崩れしやすいことがあります。

4.ウール:

メリット: 高い温度調整力があり、外でも冷房の効いた室内でも快適に過ごせます。 吸湿性があるため、多少の汗も吸収してくれます。

デメリット: 放湿性は高いものの、素材によっては夏の暑い時期には少し暑苦しいことがあります。

2)UVカット機能のある合成繊維

合成繊維(ポリエステルなど)は紫外線遮蔽効果に優れています。特に、紫外線反射素材を練り込んだものは効果が持続し、繰り返しの使用でも効果が落ちにくい特長があります。暑い夏場でも、薄手の合成繊維の服装を選ぶことで紫外線対策をしっかりと行えます。

合成繊維は「UVカット」「遮光」「遮熱」機能を持つため、肌を紫外線からしっかり守ってくれます。また、紫外線遮蔽率測定やJIS L 1925規格に基づいた品質性能のある服装を選ぶことも重要です。

具体的には、PA(UV-Aカット指数)とSPF(UV-Bカット指数)に注目し、効果的な服装を選びましょう。

① PA(Protection Grade of UV-A):UV-Aをカットする指数 PA+、PA++、PA+++、PA++++の4段階で表示され、数が多いほどUV-A対策が高くなります。PA++++が最も高い防御力を持つ評価です。

② SPF(Sun Protection Factor):UV-Bをカットする指数 SPFとは、Sun Protection Factorの略で、2～50+までの数値で表示されます。数値が高いほどUV-B対策が高まります。SPF50+は最も高い防御力を持つ評価です。

3)濃い色の服とポリエステルとウールがおすすめ

紫外線対策において、服の色と素材選びも大切です。

黒は紫外線を通しにくく、日焼け防止効果が高い色として知られていますが、色が付いていれば(染料による紫外線吸収効果があるため)、薄くても濃くても日焼け防止に役立ちます。ただし、最も紫外線を通しにくい黒は太陽の光を吸収しやすく、暑さを感じやすいこともあります。そのため、日焼け防止と暑さ対策の両方を考慮して色を選ぶと良いでしょう。また、一般的に白は紫外線を通しやすいとされていますが、蛍光剤が使用されている場合は、ほぼ黒に匹敵する紫外線予防効果も期待できます。

色だけでなく素材選びも重要です。
色調の濃い服は紫外線を通しにくい一方で、熱の吸収率が高いため、濃い色の服を着る場合は暑さ対策を併用するのがおすすめです。ウールやポリエステルは紫外線をカットする効果が期待されています。メリノウールの衣服は他の繊維に比べ、日光からの保護性能に優れていると言われています。 自然の力から羊を守るために何百万年もかけて進化してきた天然繊維であるメリノウールは、紫外線を吸収し、日光から守ってくれます。

4)日傘も効果的

紫外線を効果的にカットするためには、UVカット効果の高い日傘を選ぶことが重要です。日本の日傘には、紫外線カット効果を示す「UVカット率」として表示されるものがあります。UVカット率99%以上、あるいは紫外線透過率1%以下の日傘がおすすめです。また下記も意識して選ぶと良いと思います。

折りたたみが便利:
日傘は持ち運びがしやすく、いつでも使えるように折りたたみができるものが便利です。軽量でコンパクトな折りたたみタイプの日傘は、バッグに入れて持ち歩くことができます。

大きめのサイズを持つ:
日傘の大きさも重要なポイントです。できるだけ広い面積をカバーできる大きめのサイズの日傘を選ぶことで、顔や首元、腕など広範囲に紫外線から肌を守ることができます。

デザインと機能性のバランス感:
日傘はファッションアイテムとしても楽しめるため、デザイン性も重要です。機能性とデザイン性の両方を兼ね備えた日傘を選ぶと、晴れた日のおしゃれも楽しめます。

日傘のおすすめはポリエステル素材、内側は黒

ポリエステル素材がオススメ: 紫外線を通しにくい素材として、ポリエステルが挙げられます。ポリエステルは紫外線遮蔽効果に優れ、肌をしっかりと守ります。

地面や建物の照り返しに注意: 紫外線は空からだけでなく、地面や建物からの照り返しも肌に影響を与えます。日傘を使用する際は、周囲の照り返しにも注意しましょう。

内側の色は「ブラック」: 傘の内側がホワイトだと光を跳ね返す乱反射が起きるため、内側はブラックを選ぶと反射された紫外線を防げます。

日傘選びにおいて、ポリエステル素材の日傘を選ぶことや内側を黒にすることで、効果的な紫外線対策を行いましょう。

あとがき

紫外線のダメージから肌を守るためには、適切な服装選びが不可欠です。紫外線(UV-AとUV-B)に対応したPAとSPFの指数を確認し、サングラスと服装を上手に活用しましょう。肌が弱い女性の皆さまにとって、健やかな肌を保つための対策は重要なテーマです。紫外線対策をしっかりと行いながら、快適な日々を過ごしていただけることを願っています。

かゆみ対策インナーとは、肌のことを究極にこだわったインナーです。
肌が弱い女性にとっては洋服の素材選びも重要です。紫外線からの保護性能はもちろん、肌に優しい素材として汗をきちんと吸収し、放出してくれる特徴があります。天然繊維は、通気性が良く汗を素早く吸収してくれますので、かゆみの軽減に役立ちます。快適な日常を送るために、適切なケアと素材選びを心がけていただきたいと思います。皆さまの健やかな肌づくりを応援しています。