FACTORY
香川県の手袋(GLOVE)の歴史は、とあるカップルの愛(LOVE)の逃避行に由来します。香川県東かがわ市のとある寺の副住職・両児舜礼が、恋人と大阪に駆け落ちをしました。日銭を稼ぐために大阪ではじめたのが、手袋の縫製。時は1888年。そこで彼は手袋製造業に明るい未来を感じ、家業として興す決心をします。以降、東かがわ市は国内最大の産地となり、現在では日本の手袋の約9割が東かがわ市を中心とした香川県で生産されるまでになりました。当社は1948年に香川県大川郡三本松町(現東かがわ市三本松)で創業し、半世紀以上に渡って手袋を作り続けています。
革は生き物であり、傷の位置やシボ(革の指紋のようなもの)など、同じものは1つとしてありません。一枚の革の中においても、厚かったり薄かったり、伸びたり伸びなかったりと、部分的に差異があります。私たちは革の隅から隅までを目視でチェックし、左右の手袋ができるだけ同じ状態になるように裁断。縫製は手作業で行い、手の伸びや厚さを考慮した上で、左右が同一になるように調整しています。
かつては自社内で一貫して革手袋を生産できる会社は多数ありましたが、今ではほんの数社になってしまいました。その中の1つが当社であり、革以外にもジャージやナイロン、糸といった様々な素材の手袋を自社内で製造。多種多様な手袋をワンストップで製造できる工場はとても珍しく、あらゆるメーカーから日々注文が寄せられています。
手袋の縫製は曲線が多い上に、1mmの狂いが許されない高度な縫製技術が求められます。1人前の縫製技術者になるには数年を要するため、長期的な技術継承は大きな課題。そこで、半世紀以上かけて培ってきた技術を後世に残すべく、 ビジュアルで分かりやすく伝えるために製造の模様をDVDに落とし込むなど、若者に振り向いてもらうための試みを実施しています。高校生や専門学生向けの工場見学も定期的に開催。若者の興味を喚起させる取り組みには、これからも力を入れていきます。
今回製作した手袋(GLOVE)はデザインがシンプルな分、使う場所を選びません。皆様に色々なシーンでご愛用していただけるように一双一双、真心(LOVE)を込めてつくりました。今後は、ものづくりの火を灯し続けるだけでなく、「メイドインかがわ」を国内外にもっと提唱していきたい。製品の信頼度を今まで以上に高めることで海外メーカーとの差別化を図り、まだまだ埋もれている新たな需要を掘り起こしていきたいと考えています。
手袋産業が盛んな香川県東部で1948年に創業。
「海外生産を手がけるうえでも、国内の生産基盤が大切」と、今なお社内生産、職人の技術を守り続けている。
豊かな感性と確かな品質をモットーに企画、開発、製造に取り組む
香川県東かがわ市三本松222-1