FACTORY
倉敷で創業126年。昔から変わらない工場では、旧式シャットル織機が重厚感のある音をたて、ゆっくりと厚い綿帆布を織り上げています。株式会社タケヤリは、1888(明治21)年に創業。小倉織りの足袋や袴地で評判となり、第5回内国勧業博覧会では載仁親王より褒状を受けました。明治後半から現在の主力製品である綿帆布に着手し、1950年には株式会社クラレと提携して合繊帆布の本格的生産を開始。新旧の織機を巧みに利用し、あらゆる帆布を織り上げる技術、そして手織りから革新織機までの変遷は日本の織布工場の歴史そのものと言える老舗の帆布専門工場です。
生地に使用する縦糸の生産には、圧倒的な大きさの機械が活躍します。糸を均一にそろえ、ロールにする工程では、一度に600m以上もの糸を巻くことができます。大量に生産することで生地の質を一定にし、日本人ならではの高水準なものづくりを安定して行うことができます。糸を整える上で端になる部分はカット。贅沢に感じられますが、いいものだけを提供したいという強い思いから取り組んでいます。
ベルトコンベアーの基布など、主に工場用製品や資材として使用される2号帆布。あまりに生地が厚いことから、日本で2号を織ることができるのはタケヤリただ1社です(タケヤリは1号帆布にも対応しています)。先ほど巻いた縦糸に緯糸を打ち込んでいく様子はすごく迫力があり、素早く動くシャトルが、大きな音を響かせます。機械の扱いは熟練の職人の成せる業で、少しでもおかしなところは直ちに見つけ、24時間生地が生産され続ける状態にコントロールします。機械だけでなく、人の目によって正しく生産しているからこそ、細部まで目の行き届いた丁寧なものづくりが可能になるのです。
生産された生地は全て、不具合がないかチェックされます。特殊な光を当て、こちらも人の目でしっかりと検査。ほつれなどがある部分には、印をつけて後で補修の工程が入ります。次々に流れていく生成の生地の中でわずかなキズを見つけるのは、素人では到底できない高度な技術が必要です。補修のスピードもさることながら、やはり日本のものづくりは職人たちの技術力の素晴らしさが際立っています。
明治21年創業。120年以上続く歴史の中で当初より帆布生地の生産を続け、シャットル、レピア、スルザー、エアジェットと最新の織機まで幅広く取り揃える。2号帆布など今ではタケヤリしか織ることのできない生地も存在し、帆布メーカーとして貴重な存在となっている。
岡山県倉敷市曽原414