FACTORY
新潟県の中央に位置する小さな街・見附市(みつけ)。動植物の息づかいが聞こえる自然に恵まれたこの街でニット製品が作られています。見附市は古くから綿織物の産地として名を馳せ、現在ではニット工場だけでなく、生産に携わる加工場や資材を扱う会社も集積した、日本有数のニットの産地として定着しています。
この街で約70年、ニット作りを行うのが「第一ニットマーケティング」。ニット生産に適した環境とお客様からの要望に真面目に取り組んできたことで、現在では国内外のラグジュアリーブランドから支持されるメーカーへと成長しました。
日本にはこの工場にしかない、ドイツ製のクラッシックなフルファッション機(型に合わせて編み目を増減させながら編地を作る成型編み機の1種)。プレーンな編み方しかできませんが、この機械で編み立てると編み目が細かいのにひと目ひと目がギュッと詰まった丈夫で伸縮性抜群の編地ができあがります。
この希少なフルファッション機をはじめ、ハイゲージニットに特化したのは、先代である3代目の社長の頃。その当時、中国をはじめとしたアジア諸国ではまだハイゲージニットを作る技術がなかったことに着目し、新技術の導入に積極的だった先代はいち早くハイゲージのフルファッション機を導入します。
そして現在、第一ニットで稼働している機械はなんと100台以上。ざっくりとした編み目の7G(ゲージ)から細かい編み目の18G、そして先ほど紹介した日本で唯一のドイツ製のクラッシックフルファッション機まで、豊富な編機とそれを動かす卓越した職人の技術力が今日の第一ニットマーケティングを支えています。特に18Gにおいては設置台数50台以上を誇り、これは日本のニットメーカーでも一番の規模にあたります。
編み機を数多くそろえていることがこの工場の強みではありません。それは企画から編立・加工・縫製・検査まで自社工場内で一貫して行えるということ。全ての工程において社内の熟練スタッフがチェックを行いながら進められる体制は、品質管理においてこれほどの強みはありません。
また工場で働く職人たちの品質への意識も非常に高い。ハイブランドの商品を多く請け負ってきたからこそ培われた意識の高さと言えます。
新しいデザインのサンプルに取り掛かる時、デザイン・編み設計・パターンの担当者でチームを作り、それぞれのポジションから物づくりと向き合い、打ち合わせを重ねながらサンプルを作り上げるというのが第一ニットマーケティングのスタイル。
指示をする側とされる側という垣根がないため、意見が出しやすくより完成度の高いサンプルに仕上げることができます。この垣根がないことが、役割は違っても良いものを作りたいという共通の思いが生まれ、品質の向上に大いにつながっています。
「私たちは編目の細かなハイゲージニットを多く取り扱っているので、当然職人たちもこの細かな編目と日々向き合っています。例えば18Gのニットは、ひと目の大きさがわずか1mmほど。各パーツをつなぎ合わせるミシン班であれば、このひと目1㎜がずれないように鍛え上げられた目と指先の感覚で製品を仕上げていきます」。(現社長・近藤 英雅さん)
「これはザックリとしたニットとは比べ物にならないくらい緻密な工程。ニットは、ハイテクな編機とは逆にアナログな人の手仕事が実はとても多く隠れた手間のかかるアイテムです。日本製は高いからと値段だけで敬遠されがちですが、こういった職人たちの丁寧で細やかな手仕事が加わっているという事を少しでも多くの人に知っていただき、当社のニットに触れてもらえたら嬉しく思います」。
ここにしかない編み機や高密度に編みこめるハイゲージニット編み機というハード面での強みに加え、その編み機を使いこなす職人の手仕事、そして思いの統一によって、日本そして世界で高く評価されるニットが生まれます。
袖を通すとそのニットの風合い、デザインに加え、職人の想いもきっと感じられるはずですよ。
国内外の有名メゾンから生産依頼が絶えない新潟県見附市のニット工場。ここにしかない希少な編み機やハイゲージニット編み機を多数保有し、高い職人の技術と企画力により他にはまねできないニットを作り出している。
新潟県見附市柳橋町270-1