高野山を源流とした貴志川の河口域に広がる貴志川町。私たち森下メリヤス工場は、半島として日本最大の規模を誇る紀伊半島の山々の麓に本社をかまえています。その歴史の幕開けは、まさに波乱万丈。1907年の創業時は和歌山市に本社がありましたが、戦火によって燃えてしまいました。しかし、2代目の森下茂は戦争から帰還した後、再び和歌山市にて旗揚げを行います。以後は事業が軌道に乗り、手狭になったことから貴志川町に本社を移すことになりました。近年では、最寄り駅である「貴志駅」の猫駅長が大手保険メーカーのCMに登場したことをきっかけに、遠方からの観光客も増えています。
創業から丸編み一筋。古い吊り編み機やヴィンテージ編み機、さらにはコンピューター編み機といった多種多様な機械を保有しており、格納している機械も含めれば合計で200台を超えます。日頃から整備を行き届かせているため、どの編み機も常に稼働できる状態。ニーズに応じて最適な編み機を選んでいるのはもちろん、優れた技術を持つ染工場と提携することで生地の風合いにもこだわっており、世界のラグジュアリーメーカーからも支持されています。
200台以上の編み機を使い分けているだけでなく、場合によっては機械を改造することもあります。オーダーによっては敢えて昔の風合いに近い生地を再生産することもあるように、理想を実現させるための創意工夫に妥協はありません。新しい製品の開発にも積極的で、職人技と最新の編み機を組み合わせて実験的な試みを行うこともしばしば。日進月歩で技術を向上させながら、こ